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「紫耀、頼む･･･。」
「もうやめてや！」
すると、大好きな人の声が聞こえてくる。
バンッ、とドアが開き、そこに居たのは。
「廉？」
紫耀もいきなり現れた廉に驚いている。
仕事が終わって、廉は一番に帰った筈なのに。
それなのに、何でこんな所に居るんだろう。
それよりも、今迄の話、全部聞かれてしまったんだろうか。
「余計な事すんな。これは俺と紫耀の問題やから･･･優太は口出さんといて。」
強い口調で遮られてしまう。
やっぱり、廉に聞かれてしまっていたようだ。
一体いつから聞かれていたんだろう。
「廉･･･俺は･･･。」
「分かっとる。優太の気持ちは分かっとるから･･･それは俺の事を想ってくれてるからやって･･･それは･･･物凄く嬉しい･･･。」
廉を無理矢理抱くとか、本気でそんな傷付ける様な事がしたい訳じゃ無いって言いたくて。
でも、廉はそんな俺の気持ちを全部分かってくれてるみたいで。
そんな俺の想いを、嬉しいって言ってくれたんだ。
「廉、お前･･･。」
すると、そんな廉の言葉に動揺する紫耀。
「分かっとるけど･･･俺は･･･俺は紫耀が好きやから。」
真っ直ぐに紫耀を見つめて廉が言う。
「廉･･･俺･･･お前にずっと酷い事･･･。」
廉の言葉に激しく動揺して、今にも泣きそうな顔をする紫耀。
「ええんよ。だって、俺が許して来たんやから。紫耀の事が好きやったから。」
「廉･･･。」
その廉の言葉に紫耀は嬉しそうにして。
ああ、やっぱり廉は紫耀の事を許すのか･･･。
「俺･･･お前と一緒におるの･･･ずっとしんどかった･･･。」
「え？」
驚いた･･･廉が紫耀にそんな事を言うなんて。
いつも廉は、紫耀に自分が辛い事を言わずにずっと我慢してたのに。
「お前に何度も裏切られて･･･もうしないって言うから許してたけど･･･せやのにお前は俺の気持ちを試すみたいに同じ事を繰り返して･･･俺もう正直･･･疲れてもうたわ･･･。」
「ちょ、廉？今までの事は謝るから。ずっと辛い思いさせてほんとにごめん。」
廉の言葉に焦り出す紫耀。
「俺･･･お前に触られんの、もうほんと嫌やった。何処の誰を抱いたかも分からん手で触られんの･･･めちゃめちゃ嫌やった･･･吐きそうな程気持ち悪かった･･･。」
「え？廉･･･そんなに？でも･･･廉はずっと触らせてくれてたじゃん。」
絞り出すような廉の言葉に紫耀はただ驚いてるよう。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2022年4月20日 0時
