Home Sweet Home ３５ (ページ1)

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１　Endroll（優太･しょうれん）ページ1

優太side.

いつか、全部綺麗に想い出にする事が出来たら良いな。

あいつと過ごした日々を･･･掛け替えのない愛おしい日々を。

絶対に忘れるなんて出来ないから。

だったらせめて、俺の中で大切にしまっておこう。

全部綺麗なままで想い出にしよう。

俺はあいつの傍に居て、ずっと見守っていよう。

あいつがずっと幸せで、ずっと笑っていられるように。

ずっと傍で･･･。

そう、思ってたのに･･･。

今日は俺にしては珍しく早く現場に着いて、スタッフさんに案内されたメイクルームに行くと、いつもはそこに居ない筈の奴が。

「おはよう、早いな、廉。」

「おはよう、優太。あんたもな。今日は珍しく早いやん。」

「ああ、何か、いつもより早く目が覚めちゃってさ。家に居ても暇だし、美味いコーヒー飲みたかったし。買いに行こうと思っていつもより早く家出ちゃったんだよな。」

「へえ？そうなんや。」

メイクさんに顔を弄られながら廉が言う。

いつも嫌だと言っている廉が、珍しくメイクをしていたから気になってその様子を見ていた。

メイクさんが廉の目元にコンシーラーを塗っていたから、多分隈とか出来てんだろうなって。

隈とかニキビが出来た時に、それを隠すくらいにしか廉は殆どメイクしないから。

横目で廉の顔を見ると、少し目も赤くなってちょっと腫れてるみたいだし。

ああ、昨夜は一人で泣いていたんだろうか。

あんなに泣けないと言っていた廉が。

そんな姿を隠す事も出来なくなるくらいに、今の廉は心も身体もすっかり弱っているようで。

それに、ずっと眠れていないんだろう、ここ暫くそんな様子が見て取れたから。

最近は移動車に乗ってる時も、目は瞑ってるけど眠っている気配は無かったから。

些細な音や振動ですぐにパッと目を開けて、そしてまたウトウトとしながら目を閉じて。

そんな事を現場に着くまでにずっと繰り返していたんだ。

一体どれだけ眠れていないんだろうか。

それに、見るからに痩せてしまっている。

元々痩せている方の廉だけど、ここ最近は顔色も悪くてその体調が心配になる程で。

仕事中に現場で出される食事にも、「食欲無い」と言って殆ど手を付けていなかった。

以前ならその細い身体の何処に入るんだって言うくらい、白飯を美味そうに掻き込んでいたのに。

毎晩まともに眠れない程、まともに食事も出来ない程、廉は辛い思いをしているんだ。

あいつのせいで･･･。