２ ページ47
そして紫耀自身も、自分が熟す仕事の多さに、辟易しとった。
それでも、
実際紫耀は、あまりに忙し過ぎて、何度も現場から逃げ出そうと考えていた事があったらしい。
体調やって万全や無くて、元々アレルギーを患っていたのに。
更に、帯状疱疹まで出てもうて。
紫耀の心も身体も、限界やったんや。
「紫耀？おいで？」
「ん･･･。」
言葉を発するのもしんどいんか、重い身体を引き摺るように、殆ど無言で俺の所へやって来る。
楽屋の隅に椅子を二つ並べて、紫耀と二人で座って。
紫耀が俺の身体をきつく抱き締めて、離そうとしない。
俺はそれを受け入れてやって、紫耀の背中を優しく撫でてやっていた。
「廉･･･もう、しんどい･･･。」
「おん、せやな･･･しんどいな･･･。」
俺は余計な事は言わずに、紫耀の言葉を聞いてやる。
「しんどい･･･辛い･･･辞めたい･･･逃げ出したい･･･。」
「おん･･･せやな･･･逃げたくもなるよな･･･。」
その言葉を否定せず、全部肯定してやる。
紫耀の言葉は、その心も身体も限界だと訴えていた。
「俺、頑張ってんのに･･･でも･･･まだ足りないって･･･。」
「紫耀は人気
「もおやだ･･･しんどい･･･辛いぃ･･･。」
今にも泣き出してしまそうな程、苦しげな声を上げる。
「ごめんな？紫耀ばっかりに負担掛けて。お前がこんなにしんどい思いしてんのに。ごめんなあ･･･。」
「廉は･･･皆は悪くないもん･･･俺が頑張れないだけで･･･。」
せやのに紫耀は、自分のせいやなんて言って。
「そんなん、紫耀はめちゃめちゃ頑張ってるやん。俺等なんかより、よっぽど･･･ほんま、ごめんなあ･･･。」
俺はただ、紫耀の身体を抱き締めて、謝る事しか出来んかった。
「れん･･･れぇん･･･。」
喋んのもしんどいんか、俺の名前だけ呼んで。
しゃあないなあ。
俺、明日朝早いんやけど、こんな紫耀を放っておけんし･･･。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：弥勒
| 作成日時：2021年11月6日 0時
