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そして俺は、吸い寄せられるようにその唇に触れた。
俺と廉の、初めてのキス･･･。
その唇は想像してたよりも、ずっと柔らかくて、熱くて。
その感触をもっと味わいたくて、角度や強さを変えて、何度も繰り返し廉の唇に触れた。
「ん･･･ふ･･･。」
繰り返すキスは、お互いに段々と深くなって。
唇を割って滑り込ませた舌を、何度も絡ませ合って。
抱き締める廉の身体に、撫でるように手を這わせていく。
「廉･･･廉･･･好きだ･･･好きだよ･･･。」
「はっ･･･ん･･･紫耀･･･。」
身体に触れる度に、廉から甘い息が漏れて、俺の心を昂らせていく。
俺の手の動きに合わせて、廉の身体がビクビクと跳ねて。
その反応も初々しくて、俺の心と身体をまた熱くさせるんだ。
「やっ･･･待って！」
その声に廉を見れば･･･。
ぎゅっと目を閉じて、唇を噛み締めていた。
「あ･･･ごめん･･･廉･･･。」
廉にさっきまでの余裕みたいなのは感じられず、性急過ぎたのだろう、俺の勢いに付いてこれなかったみたいで。
その身体は、小さくふるふると震えていた。
「ごめん、ごめんな？廉･･･怖かったな？俺、ちょっと焦っちゃって･･･。」
宥めるように、そっと優しく廉の頬を撫でる。
「ちがっ･･･ごめん･･･俺･･･。」
泣きそうなのか、赤くなった瞳で俺を見つめる廉が、何か言いたげに唇をもぞもぞさせて。
「ごめん･･･ただちょっと･･･びっくりしただけやから･･･。」
そう言って、廉が頬を撫でる俺の手をそっと握った。
その手は冷たく小さく震えていて、廉の緊張度合いが窺えた。
「･･･ごめんな？もう、何もしないから･･･。」
「え？」
俺の言葉に目を丸くして。
すると、ぎゅっと廉に抱き締められた。
「廉？」
そんな廉の行動に戸惑って、名前を呼ぶ。
「･･･やめんといて？」
「え？」
小さな廉の声。
「やめんといてよ。」
俺を見つめる瞳は、赤く潤んで揺れている。
「大丈夫やから･･･俺･･･やめんといて？続けてよ。」
「でも･･･。」
言葉とは裏腹に、小さく震える身体に躊躇する俺。
「お願い。折角明日はオフなんやもん。だから･･･俺、今日･･･紫耀と先に･･･進みたい。」
「廉･･･。」
震える身体とは反対に、瞳と声には強さを秘めていて。
その決意に、揺らぎが無い事を知らされる。
廉も俺と、同じ事を考えていてくれたんだ。
やっぱり･･･俺の方が怖気付いてしまっていた。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年11月6日 0時
