１ Collide（廉･勇太） ページ36
廉side.
「何やねんもうっ。」
俺は最近イライラを隠せない。
それは俺にちょっかいを掛けてくる奴がおるからで。
しかもそいつ、歌番組とかの本番中に仕掛けてくんのよ。
俺に向かってウインクしたりバブ顔したり、ダンスのフォーメーションで向かい合わせになった瞬間を狙ってくんの。
それ見たら笑ってもうたり動揺して、振りとか歌詞とか忘れそうになったりして。
ほんまにやめて欲しいんやけど。
紫耀がやんのは分かるのよ、あいつ誰にでもするから。
主に海人と優太が犠牲になってんやけどさ。
でもあいつは何でか俺ばっかり狙ってくんの。
ダンスのフォーメーションで身長とかダンススキルのレベルとかで、大体シンメになるように配置される事が多いから、嫌でもあいつが視界に入ってまうのよ。
何なん？あいつ。
俺何かしたんやろうか？
兎に角好い加減にしろって釘を刺さな、その内ほんまに大失敗してまいそうやから。
そして仕事が終わって帰り支度中、そいつと話をしようと声を掛けた。
「ちょっとええか？話あるんやけど。」
「ん？どうしたの？珍しい。」
そうしてそいつを楽屋から誰もおらん廊下の端へと呼び出した。
「何なん？」
「え？何が？」
俺の言いたい事が分からんくて不思議そうな顔をして。
こいつのキョトン顔は可愛いのよね。
そのキョトン顔の主、こいつ、神や。
「せやから、何で本番中に俺にちょっかい掛けてくるん？」
「ちょっかいだなんて、人聞き悪いなあ。」
そんな心外なみたいな事を言う。
「ちょっかいやん。俺マジで笑ってもうて間違えそうなんやから。」
「えー？廉は大丈夫でしょ？」
大丈夫や無いから言うてんのにさ、俺何回歌詞間違えとる事か。
しかも、自分でそれに気付かんと周りから言われてそうなんやって感じやのに。
「兎に角、本番中はやめてや？皆に迷惑掛けてまうやろ？頼むで？」
「えー、折角可愛い廉が見られたのに。」
は？可愛い？一体何を言うてんやろ。
こいつはそんな事をあからさまに言うんや。
何かもう、何を言うても無駄なような気がして。
その時はそれで話を終わらせた。
それから、流石に俺が言っただけの事はあって、神が本番中にちょっかいを掛けてくる事は少なくなった。(全く無くなった訳やない)
でも･･･。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年11月6日 0時
