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「何かさ、暫く振りにあいつの顔見たら･･･めちゃくちゃすっきりしててさ･･･すっごく大人になったって言うか･･･すっごく格好良くなってて･･･すっごく･･･綺麗だった･･･。」
「･･･うん。」
静かに語り出した神の声は、少し寂しそうに聞こえてくる。
「玄樹ってさ、本当は結構一人で何でも出来ちゃうんだよ。アメリカにも一人で行っちゃうし。結構アグレッシブって言うかバイタリティあるって言うか。」
「そうだよな。俺には絶対無理だわ。」
俺って一人行動出来ないからな、旅行なんて以ての外だ。
況してやアメリカに一人で行くなんて。
「玄樹ってさ、子供の頃苛められたりしてたから･･･一人に慣れちゃってるって言うか･･･。」
「そうなんだ？」
そんな話を聞いたような気はするけど、ホントだったんだ？
「昔はさ、俺があんまりずっと一緒に居るもんだから、逆に玄樹に心配されたりして。『俺と一緒に居過ぎ』ってさ。」
「ははっ、そうだな。お前等いっつも一緒に居たもんな。それでつまんない事で喧嘩したりして。」
いつ見ても玄樹の傍には神が居て、神の傍には玄樹が居た。
《じぐいわ》って呼ばれるシンメとしてファンからも認識されいて。
まるで俺とあいつみたいに。
「俺達にとってはつまんない事じゃないんだよ･･･俺がいつも玄樹の傍に居て、全部何でもしてやって･･･折角俺が居なくちゃ何にも出来なくなるようにしてさ、玄樹が俺に依存するように仕向けてたのにな･･･。」
「わ、マジで怖いわ、この人。」
仕向けたって、声のトーンがマジなんですけど？
「逆に、いつの間にか俺の方が玄樹に依存してたみたいだ。」
「･･･そっか。」
いつだって玄樹の事を想って、心配して。
そうやって神の方が玄樹から離れられなくなっていたんだな。
「俺に頼り切って、俺が居ないと何にも出来ないようにさせてたつもりなのにさ･･･。」
「うん？」
声がちょっと拗ねてるって言うか怒ってるような？
「結局玄樹は自分で全部決めちゃって･･･俺なんか居なくてもちゃんと一人で立っていられるんだよな。」
「うん･･･。」
そしてまた寂しそうになって。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年11月6日 0時
