１ Watch over（海人･勇太） ページ46
海人side.
「ねえ、あれで隠せてるつもりなのかな？」
「本人達はそう思ってるんだろうねえ。」
雑誌撮影の為に集まった控え室。
セット準備が整うまで少しの間待たされていて。
岸君は今スタッフさんやカメラマンさんと喋っていて、俺は神と喋っている。
そして俺達と少し離れた場所で、二人は微妙な間を空けてパイプ椅子に座っていた。
特に二人で話している訳でも無く、お互いに黙ってスマホを弄ってるみたいな感じで。
それは何とも言えない空気感だ。
実は俺と神はわざとその二人と離れている。
「あんな事したって無駄なのにさぁ。」
「ふふっ、ほんと、バレバレなのにねえ。」
そんな二人を見ながら聞こえないように声を抑えて喋っていて。
神はそんな二人を見ながら微笑ましそうに笑っていて。
俺達の目の先に居る二人は紫耀と廉。
そんな二人は、実は最近恋人として付き合い出したようだ。
ずっと長い両片想いを拗らせていた二人だったけど、どうやらお互いの気持ちが通じ合ったみたい。
ほんと、やっとかよって感じなんだけど。
だけど二人は付き合ってる事を皆には内緒にしてるみたいで。
だって一番身近にいる俺達メンバーにまだ何の報告も無いんだもん。
でもね、二人共全然隠せてないの。
だってね、二人共分かりやすいんだもん。
廉はあからさまに岸君にくっ付いてる時間が増えたし。
紫耀は神や俺と一緒に居る時間が増えたし。
人前では二人でくっ付いたりしないように、わざと他の人と一緒に居るみたいな？
でもお互いに気になるんだろうね、時々チラチラ相手の事を見てるんだもん。
そして寂しそうな顔をしてさ。
だったら隠したりなんかしないで二人で堂々とくっ付いてれば良いのにね？
でもね、ほんとは二人きりになったりするとね。
二人でじっと見つめ合ったりなんかして。
どちらからともなく手を握り合って。
そして何も言わずに抱き締め合ったりしてるんだから。
俺見ちゃったもん。
まあ、俺が居るって気付いてなかったからなんだけどね。
紫耀と廉の二人は、岸君が作った《グループ内恋愛禁止》のルールを物凄く気にしていて。
二人共、根本的な所は真面目だからなあ。
ルールを気にして中々お互いに気持ちを打ち明けなかったみたいだし。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年2月13日 0時
