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「紫耀が辛い時には俺が慰めてあげるから。いつだって都合の良いように俺の事を使って良いから。」
俺が求めてやまない柔らかそうなピンクの唇が今、目の前に。
「目を閉じてしまえば体型だって似てるんだから、きっと俺だって分からないよ。俺を廉だと思って抱いて良いんだよ？廉の名前を呼んで、何も考えずに抱いてくれたら良いんだよ？俺、絶対に声出したりしないから。だから･･･。」
我慢が出来なくなって、そして俺はその唇に触れてしまった。
「やめろ！」
どんっと身体を押された。
「もうやめてくれ！」
顔を覆って辛そうな声を上げる紫耀。
ああ、俺がそうさせてしまったんだ。
少しでもその辛い心を慰めてあげようと思ったのに。
俺の方が辛くて、紫耀に自分の気持ちを押し付けてしまった。
何で･･･何でこんな･･･。
「何で･･･何で廉なの？いつもいつも･･･昔からそう･･･紫耀は廉の事ばっかり･･･俺の方が紫耀の事好きなのに･･･。」
「海人･･･？」
抑えていたつもりの気持ちが溢れてしまう。
「ダンスだって歌だって･･･俺の方が廉よりも上手く出来るのに･･･俺の方が紫耀の隣に居るべきなのに･･･何で紫耀は廉ばっかりで俺の事見てくれないの？何で紫耀は俺のものにならないの？」
一度溢れた気持ちと言葉は止まらなくなって。
思わず紫耀の胸座を掴んでいた。
「俺の事好きになってよ！俺の事好きって言って！言えよ！廉じゃなくて俺が好きだって！言ってよ！言って！」
「海人･･･。」
気が付いたら紫耀の腕の中に居た。
ずっと恋焦がれた紫耀の腕の中に。
ああ、この時間が永遠に続けば良いのに･･･。
「ごめん･･･ごめん、海人。」
･･･ほんと、何て残酷な男なんだろう。
俺を天国から地獄へと一気に突き落とすなんて。
「お前が俺の事を想ってくれるのは嬉しいよ。でも、俺･･･廉じゃなきゃ駄目なんだ･･･お前が俺を好きなように･･･俺も廉の事･･･好きなんだよ･･･。」
「っ･･･ふっ･･･。」
気持ちだけじゃなくて涙まで溢れてしまった。
「ごめんな？俺･･･お前の事はメンバーとして･･･弟としてしか見られないんだ。」
分かってる。
分かってるよ、そんな事。
初めから全部･･･。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年2月13日 0時
