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しかも紫耀は、見た目なんかで人を好きになったりする奴じゃない。
廉はそれは綺麗な奴だけど、中身だってほんとに綺麗なんだから。
あまりに綺麗過ぎて、汚れるのが心配になるくらい。
人の悪意に晒されて、その綺麗な心が傷付いてしまうんじゃないかって。
「うん･･･廉ってしっかりしてるように見えてさ、結構傷付きやすいし気を遣い過ぎてるし。きっと心が疲れちゃうと思うんだよね。だから･･･そんな廉の事を、俺が守ってやりたいって思うんだよな。」
そう言って紫耀は照れ臭そうに笑った。
「何だよ、べた惚れじゃねえかよ。」
「だって可愛いだろ？あいつ。」
確かに可愛いよ。
だって、俺の心でさえも惑わすんだから。
「まあ良いんじゃね？廉だってお前の事好きだと思うぞ？同じ意味かどうかは分かんねえけど。」
「そうだと良いんだけど。あいつも鈍いしなあ。」
例え廉が紫耀の事を好きだとしても、それが同じ気持ちなのかまでは分からない。
でも、絶対に嫌いでは無い。
でなきゃ紫耀の事をあんな瞳で見つめたりなんかしないだろう。
優しい穏やかな、そして少し憧憬の混じったようなその瞳。
「ちょっと頑張ってみたら？案外すぐに上手くいくかもよ？」
「そっ･･･かな･･･。」
こんなに自信無さ気な紫耀も珍しい。
仕方の無い事なんだろうけど。
だって恋をすると人は皆臆病になるから。
あの人に嫌われたくない、あの人に好きになって貰いたい。
その為にはどうすれば良いのか。
そんな事を考えると、行動を起こす事に躊躇いが出てしまう。
「あ、うち《グループ内恋愛禁止》だった。」
「おおい岸君、応援すんのかしないのかどっちだよ。」
バシンと紫耀に肩を叩かれちゃった。
「いって！あれだ、その、俺は大っぴらには応援出来ないけど、心の中では応援してっから。」
「ふふっ、もう、しょうがないなあ。頼むよ？岸君。」
いつもみたいにふにゃっと笑う紫耀。
こんな顔する紫耀も好きなんだよな。
俺に心を許し切ってるような優しい笑顔が。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年2月13日 0時
