１ All of love（しょうれん） ページ1
紫耀side.
少しだけ遅い朝の風景。
カーテンの隙間から陽の光が射す廉の寝室で。
ベッドの上で真っ白なシーツに
「廉？起きて？朝だよ。」
「んぅー･･･まだ眠いぃ･･･。」
そのベッドの端に座って、優しく声を掛ければその塊がモソモソと動き出す。
俺の愛おしい人はシーツの海に潜ったまま浮上して来ない。
俺は昨夜みたいに寒い夜が好きだ。
だって、こんな風に可愛い廉が見られるから。
シーツに
短パンの裾からすらりと細く長く伸びる脚をシーツの間からチラリと覗かせて。
その長い足を俺に絡めてくるんだ。
昨夜は眠っている間に身体が冷えたのだろう。
いつの間にか俺にしがみ付くように抱き付いてきて。
胸元にすりすりと頬を摺り寄せて、ほんとに子猫みたい。
その顔は普段よりもずっと幼くて、子供の頃に見た懐かしい風景を思い出させた。
いつもは俺が廉を抱き枕にすんのにな。
そんな廉の項の付け根付近にある小さな黒子に口付けると、少し擽ったそうに首を竦めて。
昨夜俺達はシーツの海に隠れて、何度もお互いの足を絡め合わせて。
そしてお互い昂った熱を交換し合った。
愛おしい人との寒さの中で熱い夜を越えて迎えたこんな朝に。
「ふふっ、お寝坊さんだな。ほら、もう起きて？」
「んー･･･チューしてくれな起きん･･･。」
シーツの中から少し掠れた声が聞こえてくる。
その声はきっと昨夜の俺のせいだよね？
そしてぴょこっとその可愛らしい顔を覗かせて。
ちょっとだけ唇を尖らせてキスを強請る俺の可愛い恋人。
目を閉じてまるで目覚める為に王子様からのキスを待つお姫様のように。
「もー、仕方ないなぁ。」
そんな事を言いながら、本当はそんな廉が堪らなく可愛くて愛おしくて。
ニヤケる顔を抑えながら、ぐっとベッドの上に乗り上げてその可愛らしい顔を覗き込む。
チュッ。
ぽってりと形の良い唇に軽く触れるだけのキスをした。
朝の起き抜けのキスは歯を磨いてからじゃないと出来ないタイプの俺だけど、廉とのキスは例外。
廉とだったら大蒜でも納豆でも、何でも食べた後だって平気なんだから。
廉とキス出来るなら何でもアリって事なんだ。
するとゆっくりと開いていく瞳。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年2月13日 0時
