４ ページ29
「お先･･･。」
バスルームから出れば、ソファで膝を抱えていた廉が立ち上がった。
「ちょっと待っとって。」
そう言って廉はバスルームに入っていった。
テーブルを見れば廉が飲んでいたグラスと、もう一つ。
俺は廉が用意してくれたであろうグラスを取って、一気にその水を飲み干した。
そのいつもと同じさり気無い廉の優しさ。
廉が出てくるまではずっと落ち着かずドキドキしていた。
昨日までは廉がバスルームから出てくるのを、期待しながらドキドキしていたのに。
でも今は、関係が終わってしまうかもという絶望のドキドキが支配していた。
暫く何も出来ず、何でこんな事になったのか考えてみた。
さっき楽屋で俺達の間に一体何があったのか。
『そんなに海人が可愛いんなら海人と付き合えや！』
海人？
海人が可愛いって･･･俺が言ったのか？
「あ。」
言ってた。
今日も楽屋で岸君と二人で馬鹿な事を言って、俺を笑わせていた海人に。
「ほんと、お前は可愛い奴だなぁ」って。
でも、そんな事は今日に限った事じゃないし、いつもそんな事言ってるのに。
何なら、廉だって同じように言ってるのに。
♪〜。
「もしもし？」
『俺だけど。廉は？』
スマホが鳴り出てみれば神だった。
「今シャワー浴びてる。」
『そっか。廉の事だけど･･･。』
そして話し始めた神。
『今だいぶ、精神的に参ってるみたいだったよ。』
「え？何で？」
さっき廉と二人になった時に話を聞いてくれたのだろうか。
『紫耀のファンの間でさ、廉の事あんまよく思ってないのがいるみたいで･･･。』
「は？何それ？」
話を聞けば、廉はその事をずっと悩んでいたらしい。
自分が紫耀の傍に居て良いのか、自分が紫耀の恋人で良いのか。
おまけに今日の歌番組収録のリハーサルの合間に、スタッフさんとかが話しているのを聞いてしまったらしい。
『永瀬って結局、天然の平野とか岸が居るからMC出来ると思われてるだけだよな。』
『そうそう、平野が居るからMCが際立つだけで、他の奴とだったらきっとつまんない喋りしか出来ないよ。』
『ハハハッ、違いない。ただのアイドルがちょっと喋れるだけでチヤホヤされて。いい気になるなってな？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 637人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「しょうれん」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弥勒(プロフ) - るんさん» 有難う御座います！一番好きだなんて光栄です！毎話なるべくリアルに近付けるよう心掛けているので、今後も伝わって共感してもらえるよう頑張ります！ (2020年7月13日 9時) (
レス) id: 131fae9ece (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - 初コメ失礼します。いつも楽しく拝見させて頂いています。ほぼ毎日のように更新してくださって嬉しいです。ありがとうございます。今まで読んだしょうれんの作品の中で一番好きです。この2人ならなるであろうシチュが共感しかありません！これからも応援しています。 (2020年7月12日 3時) (レス) id: 8203db09b3 (このIDを非表示/違反報告)
弥勒(プロフ) - #Loveさん» 有難う御座います！独り言まで読んで頂いて感激です！作中のエピソードは全部ではありませんが実際の事を盛り込んで、なるべく話をリアルにしようと心掛けているので、伝わってくれていれば嬉しいです。 (2020年7月9日 0時) (レス) id: 131fae9ece (このIDを非表示/違反報告)
#Love(プロフ) - はじめまして。こんにちは。いつも楽しく読ませて頂いてます。お話の更新もいつも早いので毎日通知を見るのが楽しみになってます。今回もそうですが最後に作者様の一言に共感しています。撮影エピソードとか。書いてる背景なんかも伝わってきて嬉しいです！ (2020年7月8日 7時) (レス) id: 6a06178345 (このIDを非表示/違反報告)
弥勒(プロフ) - 楼茉（ろま）さん» 有難う御座います！どれだけエロいキスシーンが書けるか日々研究中です。キス１つでどれだけ感情を伝えられるかがこだわりポイントなんですが、なかなか思うようなのは書けずに苦しんどります。(-_-;) (2020年7月5日 2時) (レス) id: 131fae9ece (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：弥勒
| 作成日時：2020年7月3日 1時
