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『覆いみたいなの使ってそっちで調整してほしいんだよね』
「おう」
頷いて轟くんは紙に視線を落とす。
そういえばシャーペン借りたんだった。
ペンを返そうとしたら手が触れてちょっとびっくりしてしまった。
彼はなんとも無さそうにわたしが言ったことをメモしている。言わなくてもわたしが意識し過ぎてるだけだ。
“瀬呂のテープor八百万？”と走り書かれたはずなのに綺麗な文字が増える。
わたしもその辺りが妥当だと思う。
「今日の鏡見、なんか違ぇな」
『ん？』
体育館の見取り図以外にも色々書かれているのが気になってじっと覗き込んでいたわたしは、そう言われるまで轟くんがわたしを見ていることに気付かなかった。
聞き返そうと顔をあげたら目が合ってちょっと焦る。
轟くんはいつもと変わらない無表情だ。
普段のわたしと比較しているのだろう。
違うって言われてぱっと思い浮かぶのは芦戸さんにメイクしてもらったあの日くらいだけど、今日はいつもと同じはず。
しかもさっきまで練習していたからもしかしたら崩れてるかもしれない。
まさか遠回しにブスって言われてる？
『練習してたからかな〜』
言いながら身を引いて前髪を意味もなくいじる。
今更だけど汗もめちゃくちゃかいてるし、とんでもない醜態を晒してしまったのかもしれない。
穴があったら入りたい。
「こないだ芦戸が言ってたかわいいとは別だと思う」
細い指を顎に当てて考え込む轟くん。
かわいいじゃないってことはもう絶望しか残ってなくない？
答えに辿り着く前にさっさとこの場を離れたい。
そりゃ授業で髪もベトベトになるくらい汗かいたり、メイクほぼなくなるくらい水浴びたこともあったけど……。
ここまで近くで顔見せたことがないから、化粧で顔作りまくってることがバレなかったのかな。
とにかく、これからはもっと気をつけよう。
『わたし練習に戻るね？』
「……おう。悪ィな、時間とっちまって」
『いえいえ！演出も頑張ってね』
そそくさと席を立って轟くんと離れる。
練習場所に向かいながら左手に顔を映す。
そんなにひどくないような気もするけど、轟くんにはそう言われているわけで。
実際、相当しんどい。
顔を作り直す余裕はないから前髪だけでも整えておいた。
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有紀(プロフ) - 瑞穂さん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！気長にお待ちくだされば幸いです◎ (2020年4月29日 22時) (
レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 続編ありがとうございます!続き楽しみにしてます!! (2020年4月26日 13時) (レス) id: e180184c40 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - かぼさん» コメントありがとうございます！続編でもよろしくお願いします◎ (2020年4月20日 22時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 続編嬉しいです！！これからも楽しみにしてます(*´∇｀*) (2020年4月19日 23時) (レス) id: 5ac4123fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有紀 | 作成日時：2020年4月17日 0時
