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「鏡見、ちょっと時間あるか?」

『はーい』


夕飯を終えて女子で振りの確認をしていると、急に轟くんに呼ばれた。

ちょっと抜けるね、とみんなに声をかけて彼のもとへ近づく。

彼の座るテーブルまでいくと座れと言いたげに隣の椅子を引かれる。

断る理由もないのでそこに腰を下ろした。ペンを持つ轟くんの手元を覗き込む。


「鏡の反射の仕方教えてくれねえか」


前に瀬呂くんが見せてくれたのと同じ体育館の見取り図にいくつか線が引かれている。

たぶん鏡を指しているのだろう。

近くの余白には数式が書き殴られていた。轟くんって綺麗な文字を書くんだなあ。


『たぶんその式で合ってるよ。てか、わたしは図で考えちゃうから轟くんの求めてる答えは出せないかもしれない』


ペン貸してくれる?と聞くと持っていたシャーペンを渡してくれた。

カチカチと芯を出して紙に反射光の行き先を図示していく。


『入射角と反射角、ってのは鏡の倍率とは関係ないから授業で習ったのとおんなじ。で、倍率が変わると像の大きさも変わるのね。えっと、凸レンズとかと同じ感じ』


実際は中学で習ったあの凸レンズと鏡の反射の仕方は全然違うのだけど、まあ似たようなものだ。

轟くんをチラリと伺うと小さく頷いた。


『でもわたしのは鏡だから反射させたいものが映ったらもう反射させちゃうの。鏡にぶつかったから反射、とはできない』

「鏡を置きっぱなしにするのはあんまり良くねえってことか」

『そ。でもダンスで精一杯だから細かい調整はたぶんむり』


青山くんのビームはその名の通り光なので、鏡に映ったらすぐに跳ね返ってしまう。

極端にいえば発射された瞬間に反射してしまうようなもので、ミラーボール的な楽しみ方をするにはいくらか難しいわけだ。


まあ、光の軌道なんて見分けられる人の方が少ないのだけど。


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有紀(プロフ) - 瑞穂さん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!気長にお待ちくだされば幸いです◎ (2020年4月29日 22時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 続編ありがとうございます!続き楽しみにしてます!! (2020年4月26日 13時) (レス) id: e180184c40 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - かぼさん» コメントありがとうございます!続編でもよろしくお願いします◎ (2020年4月20日 22時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 続編嬉しいです!!これからも楽しみにしてます(*´∇`*) (2020年4月19日 23時) (レス) id: 5ac4123fb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有紀 | 作成日時:2020年4月17日 0時

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