雨の日 ページ15
少しだけ雨が嫌いじゃなくなった。
というか、わたしが雨を嫌っていたのは髪が広がってしまうからで、広がってもまとめ直す術が見つかってしまえば嫌う理由もない。
高校に入ってからは人間ヘアアイロンと名高い轟くんのおかげで大きな苦労はしなくて済んでいる。
しかも、寮から学校は近いから轟くんに頼らなくてもいいし。
『それでもテンションは下がるよなぁ』
眠い目を擦りながらベッドから這い出る。
カーテンを開けると同時に雨音が耳に入って、ため息が漏れた。
ヘアアイロンの電源を入れてから制服に着替える。
念入りにストレートにして、軽くワックスもつけていこう。
顔を洗ってベースメイクが終わる頃には、アイロンはすっかり温まっていた。
雨のせいか室内まで湿度が高くなっていて髪は既に広がっている。
久々の湿気に手こずって、部屋を出たのはギリギリの時間だった。
「遅かったな」
『あれ、おはよー』
エレベーターを降りたら轟くんが待っていた。
なんか既視感あるなぁ、と思いながら挨拶をするとまじまじと見つめられる。これも既視感。
「雨なのにいつもと同じ髪してんな」
動かない轟くんを横目にさっさと食堂に向かおうと足を踏み出したところで、轟くんが声をかけてきた。
彼はもう朝食を食べたのだろうか。食べてないなら早く食堂に行かなきゃまずいと思うんだけど。
『寮から学校は近いから、もう髪いじんなくて平気だよ』
再度彼に向き直って、さっき頑張って伸ばした髪を撫でた。
こうやって対面すると、改めて体格の差を実感してしまう。
元々背が高いのは分かっていたけれど、より筋肉質になったというか。
同じ時間を過ごしているはずなのに成長速度がてんで違う。
轟くんは仮免を取れなかったけど、絶対に彼の方がヒーローに近い。
今更そんな分かり切ったことに感情を乱されたりはしない。ただ、わたしの努力が足りないことを痛感するだけだ。
『もう朝ご飯食べたの？』
「いや、鏡見を待ってた」
『……わたしが寝坊してたらどうするつもりだったの』
なおさらこんなところで油売ってる場合じゃない。
止まった足を食堂に向けると轟くんも後ろをついてきた。
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有紀(プロフ) - 瑞穂さん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！気長にお待ちくだされば幸いです◎ (2020年4月29日 22時) (
レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 続編ありがとうございます!続き楽しみにしてます!! (2020年4月26日 13時) (レス) id: e180184c40 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - かぼさん» コメントありがとうございます！続編でもよろしくお願いします◎ (2020年4月20日 22時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 続編嬉しいです！！これからも楽しみにしてます(*´∇｀*) (2020年4月19日 23時) (レス) id: 5ac4123fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有紀 | 作成日時：2020年4月17日 0時
