紅一点干物女の憂鬱 ２

何もわかっていない【HS】 ページ32

「はあぁあぁああああ！？Aがいなくなった！？」


　

控室中にマネヒョンの情けない声が響き渡る。
というのもトイレに行くと行って部屋を出ていったAが一向に戻ってこないのだ。



　
TH「ヒョン、俺探しに行ってきます。メイク終わったし」
NJ「わかった。見つかったらすぐ連絡して。
俺はスタッフにこの事を伝えてくる」
TH「ジョングク」
JK「え？」
TH「何してるの。
お前も一緒に来るんだよ」


　
テヒョンに声をかけられたジョングクの瞳が揺れる。



JK「でも、俺」
TH「いいから」


　
躊躇った様子のジョングクをテヒョンが無理やり連れて部屋を出ていった。
控室に残されたのは、俺と…


　
YG「ホソク。
お前はどうする？」

　

俺の気持ちなんてずっと見透かしていただろうヒョン。

そして、もう一人。

　








どうするったって。


こんな辛い役回り。
だけどこれは俺が担うべきなんだろう。


現に、ユンギヒョンはその人をじっと見据えるだけで、何か言おうとはしない。






　









　







　




「ヌナ。

もしかして、ヌナがAになにかした？」
AR「…」


　


この騒ぎの中、一人だけ部屋の隅でただ口を閉ざしていたヌナ。

…疑いたくなんてなかったけれど、でも。



　



AR「Aさんは来ないわよ」
「…ヌナっ」
AR「これでいいの。あの子はこのグループに必要ない。
いない方がいい」
YG「それを決めるのは…」


　

ずっと黙っていたユンギヒョンが、立ち上がりアリンヌナへと一歩近寄る。



　
YG「俺達だ。部外者のあんたじゃない」
AR「…っ」
YG「それに、あんた気持ちの矛先間違ってるよ」
「え…？」
AR「…」
YG「Aに八つ当たりしたってしょうがないだろ。

本当に向き合わなきゃいけない相手から逃げた時点で、終わらせるべきだった」


　




…ヒョンは、一体なんの話をしてるんだ？



　



YG「あいつをどこに隠した？」
AR「…言わない」
「…ヌナ。お願いだから教えて。
大事な妹なんだよ。

ヌナの言うとおり、俺はあいつに苦しい思いさせてきたかもしれないけど…それならもう、これ以上は傷つけたくないんだ」


　

AR「…ホソクは何もわかってない」
「え？」

　

YG「…ホソガ。Aは見つかった。
ジョングクから連絡入った。
俺たちも移動するぞ」

「わかりました。

…ヌナ、また後で話をしよう」


　




結局俺は、Aのこともヌナのことも傷付けてしまったんだろうか。

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