百五十五話 ページ7
もしかしたら、この時代のジョングクは…私の知ってるジョングクなんじゃないかって。
最初はありえないって、そう思った。
だけど現に私はこの時代にいる。
ジョングクの姿が私が覚えてる彼の姿より成長しているのは、落ちた時が違ったからかもしれない。
例えば、私より二年遡った時代にタイムスリップしていたとしたら__
全部全部、私の憶測に過ぎない。だけど。
『いでっ、
っ!ジョングク!』
JK「しっ。
登ってこられる?」
『…うん』
頭に飛んできた小石に悶絶してると、城の屋根の上から顔を出したジョングクにホッとすると同時に他に呼び止める方法はなかったんかとイラッとした。
JK「さすが」
『そっちこそ。どうやって逃げ延びたの』
城壁をつたって屋根の上に飛び移ったのを見てニヤッと笑ったジョングクに問いかけると、俺今この城で知らない場所ないし?と答えられて私も笑った。
JK「…俺、やっぱり国に戻るよ」
『…そう。
あのさ、聞いてもいい?』
JK「うん」
『ジョングクは、何のために新羅に来たの?』
最後まで、彼の目的が分からなかった。
誰にも手を出すつもりはないなんて最初は信じられなかったけれど、ジョングクがテヒョンやジミンに向けるのは敵意ではなかった。
JK「俺、逃されたんだ」
『え?』
JK「さっきも言った通り、百済はもう国として崩壊しかけてる。
今年は大飢饉で、民達は疲弊しいくつもの村がなくなった。
それでも現王は国のことなんて顧みずに酒や女に溺れていたんだよ」
『今の百済王は…、あなたのお父さん?』
JK「うん。
…覚えてないんだけどね」
悲しげに微笑んだその顔に、胸が締め付けられる。
JK「兄と俺は度々王に政治を顧みるように進言した。
だけどそのうちそんな俺たちが疎ましくなったんだね。
戦の最前線に送られるようになった」
『…そんな』
JK「このままだといつ死んでもおかしくない。
王を退けることを決意し反乱を企てたんだけど、その夜に俺は国を追い出された」
『…どうして?』
JK「兄が…、
俺にだけは生きていて欲しいって」
百済の第一皇子。
私は多分、その人に会ったことがある。
この前の戦の前線にいた、あの優しい目をした男の人。
JK「どれだけ懇願してももう、国には入れてくれなくて…、だけど記憶のない俺には他に行き場もない。
それで、一度見てみたいと思った」
『…何を?』
JK「百済以外の国を。
そこで生きる人々を」
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ろび - 夢小説で泣いたのは初めてです。こんなありふれた言葉でしか感想を言えない自分が悔しいのですが、本当に感動しました。素敵な作品をありがとうございました! (7月6日 18時) (レス) @page50 id: ce68512d6b (このIDを非表示/違反報告)
neon(プロフ) - 終始最高の作品でした。後半なんかもうバスタオル必須で、言葉では表せない感動がこみあげてきます。お話の中に引き込まれてしまう感覚がとても心地よくて一気に読み進めてしまいました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年2月26日 3時) (レス) @page49 id: db36888990 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - こんなに作り込まれてて最後の伏線回収まで素晴らしい作品でしたありがとうございました! (2023年2月6日 2時) (レス) @page50 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃむ(プロフ) - 私の言葉で表せないくらい本当に感動するお話でした!一気読みさせていただいたのですが、ずっと涙がとまりませんでした。恋の行方だったり苦しい時代背景が相まって奥行きのある素敵なお話になっていました( ; ; )占ツク史上1番素敵なお話でした!! (2023年1月1日 16時) (レス) @page50 id: ad70953f09 (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - 今まで1番読んでて面白いし止まらないし最高でした!!!ありがとうございます、、。 (2021年12月8日 3時) (レス) @page50 id: 9fa27182b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2020年7月12日 22時