最終話 ページ48
こういう綺麗な景色とかにあんまり興味のないジョングクを置いて、さらに小高い場所を目指してぐんぐん山を登っていく。
段々と人が少なくなってきて…
あ、ベストスポット。
階段の舗装もされていない地面に腰を下ろし、視界を埋め尽くすピンク色の中に体を溶け込ませる。
私は去年、この山で行方不明になったらしい。
とはいってもいなくなったのは少しの間で、数時間後には汚い格好をした状態で捜索隊の人に発見されたとか。
数時間の間に一体何をしていたのか。
手がかりになるその服は捨ててしまい、今残されているのは…、
『なんか…捨てられないんだよね』
すっかり古くなってしまったこの組紐と、誰かから私に向けて送られた手紙。
色あせてしまった組紐を掲げてじっと見つめていると、
「あ！！！」
後ろから聞こえた大きな声に振り向く。
すると、そこいたのは私を見て大きく目を見開いた…えと、誰？
「ねぇ、それ…、うわ！」
『あっ！』
余程私の手にあるものが気になったのか、それに目を奪われた男の子が何かに躓いて思い切りこちらに倒れ込んでくる。
ドスンと、降ってきた重みを持ち前の筋力で受け止めると、バッと顔を上げた彼の私を見る目は心なしか濡れて見えた。
「ありがとう！」
『いえ。
えと、あの、退いてもらっても？』
「あ、ごめん！」
私に覆いかぶさるようにしたままだったその人が慌てて私から降りて、さっきまで私が座っていた場所の隣に腰掛ける。
『あの、観光ですか？』
「ううん、俺あそこに見える学校の学生で…ここには人を探しに来てた」
『じゃあ、先輩ですね。探してるのは友達ですか？」
「んー、わかんない」
『はぁ？』
なにそれ！と口を開けた私に、その先輩は四角い口をしてにひひっと笑う。
あ。綺麗。
彼が笑うと同時に風が吹き、散ってきた桜がひらひらと舞う。
『一緒に探しますか？』
「いや…、もういいや」
『え？』
「いいんだ」
ふっと微笑んだその柔らかい表情に、なぜだか胸が締め付けられるように痛んだ。
だけどそれは、じんわりと、暖かさを伴う不思議な痛み。
JK「A！
頂きまで行くつもり？」
「テヒョン！無茶だって、顔もわかんない相手探せるわけ…
ん？」
「ジミン！」
『ジョングク！』
ねぇ、なんだろうこの気持ち。
分からないけど多分。
大切な約束を、
今、きっと果たせた。
fin.
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ろび - 夢小説で泣いたのは初めてです。こんなありふれた言葉でしか感想を言えない自分が悔しいのですが、本当に感動しました。素敵な作品をありがとうございました！ (7月6日 18時) (
レス) @page50 id: ce68512d6b (このIDを非表示/違反報告)
neon(プロフ) - 終始最高の作品でした。後半なんかもうバスタオル必須で、言葉では表せない感動がこみあげてきます。お話の中に引き込まれてしまう感覚がとても心地よくて一気に読み進めてしまいました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年2月26日 3時) (レス) @page49 id: db36888990 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - こんなに作り込まれてて最後の伏線回収まで素晴らしい作品でしたありがとうございました！ (2023年2月6日 2時) (レス) @page50 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃむ(プロフ) - 私の言葉で表せないくらい本当に感動するお話でした！一気読みさせていただいたのですが、ずっと涙がとまりませんでした。恋の行方だったり苦しい時代背景が相まって奥行きのある素敵なお話になっていました（ ; ; ）占ツク史上1番素敵なお話でした！！ (2023年1月1日 16時) (レス) @page50 id: ad70953f09 (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - 今まで1番読んでて面白いし止まらないし最高でした！！！ありがとうございます、、。 (2021年12月8日 3時) (レス) @page50 id: 9fa27182b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミロ
| 作成日時：2020年7月12日 22時
