百九十四話 ページ46
JK「それから、きっと俺をこの時代に連れ戻しに来てくれたんだと思う」
『…え？』
JK「意味ならあったよ。
だから、そんな顔するな。泣くなら今は…」
『…』
JK「テヒョン皇子だけを思って泣け」
『…っ』
…苦しいよ。
本当に、息の仕方を忘れてしまったみたい。
今でも、思い出そうとすればすぐにあの優しい笑顔を思い浮かべることが出来るのに。
『本当に、全部忘れちゃうの…？』
こんなにも大事な事全て忘れられるの？
ジミン、ソクジンさん、ナムジュンさん。
ホソク様にユンギさん。
あの時代に落ちなければ出会えなかった大切な人達。
心が死んでしまいそうで、助けを求めるようにジョングクにしがみつくと、彼の体も少し震えていることに気がつく。
カサリ。胸元で音を鳴らした手紙に気がついて取り出した。
JK「それ…」
『…テヒョンが、戦に出る前に置いていった手紙』
向こうの時代でもお守りのように肌身離さず持っていた。
これがあれば、忘れずにいられるかもしれない。
破れないようにそっと開くと、もう何度も見てきたテヒョンの字が並んでいて。
とても短い文章。
意味はわからないけれど、この字を見ているだけで温かい気持ちになれたのに。
今はもう、涙の量を増やす要因にしかならないなんて。
JK「…何これ。こんなことよく書けるよ」
『ちょ！
勝手に見ないで…って、読めるの！？』
驚いてジョングクの顔を見ると、ニヤってやっといつもらしい彼の顔で笑われる。
JK「Aより向こうにいた時間長いからね。…読もうか？」
『…うん』
少し怖いけれど、今、知らなければならない気がして。
頷いた私に、何故かジョングクは少しだけ恥ずかしそうにして…それからじっと、私の目を見つめる。
JK「なんか、やっぱり俺は敵わないな」
『え？』
JK「《たとえ、帰れなくなったとしても。
生まれ変わって、またAに会いに行く》」
『…っ』
JK「《だから、信じて待っていて。》
って。
ねぇ、ちょっと重すぎない？」
ふはって笑うジョングクの目には、ほんの少し涙が溜まっていて。
私も…、
重いねって笑い返したいのに、あとからあとから溢れてくる涙のせいで、頷くことしか出来ない。
JK「あの人束縛激しかったもんね」
『そうなの？』
JK「そうだよ」
ああ、でも。
あまりにテヒョンらしくて。
何の保証もないのに、絶対の約束。
こっちに選択権なんてない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3504人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ろび - 夢小説で泣いたのは初めてです。こんなありふれた言葉でしか感想を言えない自分が悔しいのですが、本当に感動しました。素敵な作品をありがとうございました！ (7月6日 18時) (
レス) @page50 id: ce68512d6b (このIDを非表示/違反報告)
neon(プロフ) - 終始最高の作品でした。後半なんかもうバスタオル必須で、言葉では表せない感動がこみあげてきます。お話の中に引き込まれてしまう感覚がとても心地よくて一気に読み進めてしまいました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年2月26日 3時) (レス) @page49 id: db36888990 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - こんなに作り込まれてて最後の伏線回収まで素晴らしい作品でしたありがとうございました！ (2023年2月6日 2時) (レス) @page50 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃむ(プロフ) - 私の言葉で表せないくらい本当に感動するお話でした！一気読みさせていただいたのですが、ずっと涙がとまりませんでした。恋の行方だったり苦しい時代背景が相まって奥行きのある素敵なお話になっていました（ ; ; ）占ツク史上1番素敵なお話でした！！ (2023年1月1日 16時) (レス) @page50 id: ad70953f09 (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - 今まで1番読んでて面白いし止まらないし最高でした！！！ありがとうございます、、。 (2021年12月8日 3時) (レス) @page50 id: 9fa27182b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミロ
| 作成日時：2020年7月12日 22時
