百九十三話 ページ45
JK「病院側も説明つかないよな?部屋のベッドで寝ていたはずの患者が、見たこともない服を来て外で倒れていたなんて」
確かに。
だけどもう一つ不思議な点はある。
『どうして歳をとってないの?
ジョングクが火傷で入院していたのは知ってた。
だけど、入院前と退院後で変化はなかったはず』
JK「わからない。
でも、何もなかったことにされようとしてるのは間違いないね」
『…誰に?』
JK「知らないよ、そんなの。
だけど、その証拠にこのタイムスリップで得た記憶は時機に全て消えてしまう」
『…え?』
今、なんて…?
JK「実際俺も、夢の中で向こうに行ったお前に会うまで、二年前の出来事は全部覚えてなかった。
そして、きっとまた忘れるんだと思う」
『…嘘。
じゃあ、全部…あの時代のことは忘れてしまうの?』
JK「…恐らく。
!A!?
どこ行くんだよ!」
嘘だ嘘だ嘘だ。
じゃあ、私はもうすぐテヒョンの事も忘れてしまうの?
病室に置いてあった汚れた服の袂から、ずっと大事にしまってあった手紙を取り出す。
良かった。…これがあれば…。
それを握りしめ、病室を飛び出す。
JK「待てって!」
『待たない!』
入院服のまま走る私に、外にいる人たちがなんだなんだと視線を向けてくる。
走りながら、どこを見ても現代の景色であることに絶望を覚えた。
車、信号、自動販売機。見慣れたはずのそれらに心がざわついて仕方がない。
病室の窓から見えた山は、やっぱりあの吐含山。
全ての始まりの場所である聖山。
JK「良い加減にしろ!」
『…っ』
山中まで入った所でジョングクに捕まり、バランスを崩して二人一緒に草むらの中に沈む。
『…離してよ』
JK「離さない」
『やだ!帰るの!』
JK「…は?」
『記憶が消えてしまう前に、あの時代に帰るんだから!』
だから、離して。
そう続けようとした言葉ごと飲み込むように抱きしめられて、その腕から逃れるように強く抵抗するも、抜け出すことが出来ない。
JK「分かってるでしょ?
…もうあの時代には帰れない」
『どうして…』
JK「あそこでAがやるべきことは終わったんだよ」
やるべきこと…?そんなの。
『私に何が出来たの!?
結局テヒョンに怪我させて、ジョングクまで巻き込んで…』
やっとあの時代で生きていく決意をした途端に現代に戻るなんて。
JK「それは違うよ」
『…』
JK「Aは、皇子たちの命を何度も救った」
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ろび - 夢小説で泣いたのは初めてです。こんなありふれた言葉でしか感想を言えない自分が悔しいのですが、本当に感動しました。素敵な作品をありがとうございました! (7月6日 18時) (レス) @page50 id: ce68512d6b (このIDを非表示/違反報告)
neon(プロフ) - 終始最高の作品でした。後半なんかもうバスタオル必須で、言葉では表せない感動がこみあげてきます。お話の中に引き込まれてしまう感覚がとても心地よくて一気に読み進めてしまいました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年2月26日 3時) (レス) @page49 id: db36888990 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - こんなに作り込まれてて最後の伏線回収まで素晴らしい作品でしたありがとうございました! (2023年2月6日 2時) (レス) @page50 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃむ(プロフ) - 私の言葉で表せないくらい本当に感動するお話でした!一気読みさせていただいたのですが、ずっと涙がとまりませんでした。恋の行方だったり苦しい時代背景が相まって奥行きのある素敵なお話になっていました( ; ; )占ツク史上1番素敵なお話でした!! (2023年1月1日 16時) (レス) @page50 id: ad70953f09 (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - 今まで1番読んでて面白いし止まらないし最高でした!!!ありがとうございます、、。 (2021年12月8日 3時) (レス) @page50 id: 9fa27182b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2020年7月12日 22時