百九十話 ページ42
JK「やめろ!」
聞き慣れたよく通るその声に、閉じていた目を開く。
そして、それからはまるでスローモーションを見ているようだった。
ドン、と大きな音がして、刀を振り上げていた兵士の体が空中に放り出される。
それから、その後を追うように…
『っ、ジョングク!!!』
兵士にぶつかっていったジョングクの体が私達の隣をすり抜けていった。
TH「ジョングク!!」
『いやあ!!!』
伸ばした私達の手は届かずに、兵士とともに落下していく。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。
神様_____!
見ていられずに思わず閉じたまぶたが光で真っ赤に染まる。
TH「…A」
『…、
何…?』
光は崖下から指していて、次の瞬間そこに真っ暗な穴が空いた。
落ちていったジョングクと兵士はその穴に飲み込まれ、そのまま見えなくなる。
『…、どうなったの…?』
TH「…わからない。あれは一体…」
穴というよりも、星1つない夜の闇のような底なし沼。
あそこにジョングクは…消えていった。
だけど、私も…。
『テヒョン』
TH「…待ってて。Aだけは絶対俺が…」
『ううん。もういいから、離して』
TH「っ!嫌だ…」
『お願い、テヒョン。私、もう…』
多分、射られた場所が悪かったんだろう。
段々と意識が朦朧としてきた。
目がかすみ、大好きなあなたの顔すらもよく見えないんだ。
TH「命より大事だって言った…!Aが生きていない世界なんて俺にはなんの意味もない!」
『…、でも、私も、テヒョンには生きてほしい。
この気持ち、テヒョンならわかってくれるでしょ…?』
TH「…っ」
ポタポタと、雨のように顔に降り注ぐ涙に、
本当に、テヒョンの涙はなんて美しいんだろうって、こんな時なのに考える。
その時、再び足元から光が差し、伝わってきた温かい温度に暗闇を見下ろすと…
『…え?』
穴の底。
まるでトンネルのようなったそれの向こう側には、空が映し出されていた。
そして…、その空から覗き込むようにして姿を現した人物を見て息が止まりそうになる。
TH「あれ…、ジョングク…?」
『嘘…』
私達を見て、目を丸めたその顔は間違いなくジョングクの物で。
だけど、何かが違う。
…そうだ。
JK「A…?テヒョン皇子…?」
向こう側にいるのは、この時代に来る前最後に見た高校三年生のジョングクだ。
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ろび - 夢小説で泣いたのは初めてです。こんなありふれた言葉でしか感想を言えない自分が悔しいのですが、本当に感動しました。素敵な作品をありがとうございました! (7月6日 18時) (レス) @page50 id: ce68512d6b (このIDを非表示/違反報告)
neon(プロフ) - 終始最高の作品でした。後半なんかもうバスタオル必須で、言葉では表せない感動がこみあげてきます。お話の中に引き込まれてしまう感覚がとても心地よくて一気に読み進めてしまいました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年2月26日 3時) (レス) @page49 id: db36888990 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - こんなに作り込まれてて最後の伏線回収まで素晴らしい作品でしたありがとうございました! (2023年2月6日 2時) (レス) @page50 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃむ(プロフ) - 私の言葉で表せないくらい本当に感動するお話でした!一気読みさせていただいたのですが、ずっと涙がとまりませんでした。恋の行方だったり苦しい時代背景が相まって奥行きのある素敵なお話になっていました( ; ; )占ツク史上1番素敵なお話でした!! (2023年1月1日 16時) (レス) @page50 id: ad70953f09 (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - 今まで1番読んでて面白いし止まらないし最高でした!!!ありがとうございます、、。 (2021年12月8日 3時) (レス) @page50 id: 9fa27182b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2020年7月12日 22時