百七十九話 ページ31
YG「やだじゃない」
『嫌です、離しません！』
隙をついてその腕に食らいつくと、ぎゃー折れる！と大袈裟に痛い顔をするユンギさん。
YG「あほかー！
もう既に席開けすぎて居場所ねえぞって言われてんのに！」
『それなら尚更、ずっと新羅にいたらいい！』
YG「…A」
『私、まだちゃんとユンギさんにお礼言えてない！』
思い返してみれば、私はこの時代に来て何度も、この人のさりげない優しさに救われてきた。
ジョングクに試合で負けた日、泣きたいなら泣けばいいって優しく抱きしめてくれた腕の暖かさを今でも覚えてる。
皇子だって聞いて驚いたけど、
それよりも先に、この人は本当の兄のように優しくて、私の心の拠り所だった。
YG「それなら、最初に助けてくれただろ？」
『あれは…、
私がいなくても大丈夫だったでしょ？』
YG「助けようとしてくれたその気持ちの事だよ」
『…』
YG「お前のそういう分け隔てない優しさとか、強さとかにあいつらは惹かれるんだろうな」
『え？』
YG「いいか、よく聞け」
『わ、』
彼を掴んでいた私を腕の中に閉じ込めて、耳元に口を寄せる。
YG「遠くない未来、戦は必ず起こる。
今までにない、大きな戦」
『…っ』
YG「それが始まる前に、お前は元いたところに帰れ」
『えっ』
驚いた私をぱっと腕から解放し、そのまま離れていこうとするユンギさんの服をぎゅっと掴む。
『…どうして？ユンギさん知って、』
YG「なんとなく。
俺はさ、お前には戦とか、政権争いとか、そんなものからは離れた場所で笑って生きててほしいって思う」
『…』
これが最後。というようにふわふわと頭を撫でられて、喉がきゅーっと閉まっていく。息ができないくらい。
JM「…A、そろそろ」
『うん。
ユンギさん、どうかお元気で』
YG「お前もな」
ジミンに腕を引かれ、最後に振り返って見たユンギさんの顔は、すっかり登った太陽のせいで眩しくてよく見えなかった。
別れは辛いもの。
だけど、こんなにも悲しい別れを、私は経験したことがない。
・
『あのさ、ジミン』
JM「…」
『そろそろお話したい』
百済を出て、新羅へと帰る道の途中。
足のない私とジョングクは、私はジミン、ジョングクはテヒョンの馬の後ろに乗せてもらっていた。
JM「別に。もう怒ってないよ」
『え？
…そ、そうなの？』
JM「うん。事情が事情だし。
だけどさ」
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ろび - 夢小説で泣いたのは初めてです。こんなありふれた言葉でしか感想を言えない自分が悔しいのですが、本当に感動しました。素敵な作品をありがとうございました！ (7月6日 18時) (
レス) @page50 id: ce68512d6b (このIDを非表示/違反報告)
neon(プロフ) - 終始最高の作品でした。後半なんかもうバスタオル必須で、言葉では表せない感動がこみあげてきます。お話の中に引き込まれてしまう感覚がとても心地よくて一気に読み進めてしまいました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年2月26日 3時) (レス) @page49 id: db36888990 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - こんなに作り込まれてて最後の伏線回収まで素晴らしい作品でしたありがとうございました！ (2023年2月6日 2時) (レス) @page50 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃむ(プロフ) - 私の言葉で表せないくらい本当に感動するお話でした！一気読みさせていただいたのですが、ずっと涙がとまりませんでした。恋の行方だったり苦しい時代背景が相まって奥行きのある素敵なお話になっていました（ ; ; ）占ツク史上1番素敵なお話でした！！ (2023年1月1日 16時) (レス) @page50 id: ad70953f09 (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - 今まで1番読んでて面白いし止まらないし最高でした！！！ありがとうございます、、。 (2021年12月8日 3時) (レス) @page50 id: 9fa27182b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミロ
| 作成日時：2020年7月12日 22時
