百六十話 ページ12
次々と襲いかかってくる兵達は皆、恐らくここまで鍛錬を積んできた屈強な戦士であることは間違いないのだけど…、全員が全員、覇気がない。
目が死んでいると言うか…、本当に
ジョングクはうまく忍び込めたかな。
『…っ、しまった』
「武器を捨てろ！」
他事を考えてしまった一瞬の隙をつかれた。
喉元に突きつけられた刃にごくりと喉を鳴らす。
「聞こえなかったのか？…武器を捨てろ」
言われたとおり、サビ刀を投げ捨て、降伏のポーズを取る。
これは…ちょっとまずいのでは。
「王に報告を。
…お前、新羅のものだな？」
『…』
「もしかして、あの方の使いの者か？
いや、それは違うはず」
『あの方…？』
兵士の言葉が引っかかり、じっとその瞳を覗き込んだ私に男はしまった。というように顔を逸らす。
なんか知らんが、これを逃す手はない。
『はい。主人から書簡を預かってきております』
「は…？では何故我等に剣をむけた」
『やだなー。そっちが先に攻撃してきたんじゃないですか。
ちょっと待ってくださいね、確かこの辺に…』
手紙を取り出すように懐をまさぐる私に、兵士の視線もそこに注がれる。
…今だ！
『あ！
あったあ…ったぁッ！！』
「…ゔっ」
『ごめん、人違い！』
懐から手紙の代わりに出したのは私のグーパンチ。
兵士の顎にクリティカルヒットし、指の骨持ってかれた感じはしたけれど無事拘束は逃れられた。
「待て！」
追ってくる他の兵達から逃げて、正面から城の中に侵入して廊下を猛ダッシュする。
泗沘城も新羅の半月城と同じように柱や壁なんかは赤を基調としていて美しい。って、呑気か。
『あ！』
「お前…何者だ！」
逃げるうちにかなり奥まで入り込んでしまった。
食事が乗ったお膳を持った男が何かの部屋の前にいて、鬼の形相で走る私を見てぎょっとする。
『お、大きな声を出すな。すぐここから去れば殺したりはしない』
「殺…？ひぃ！！」
精一杯の悪役顔で脅してやると、男はお膳を思い切りひっくり返し、誰か！と声を上げてそのまま走り去っていった。
声出すなっつったのに！
たくさんの足音が聞こえてきて、焦って近くの扉を開けようとするもガタガタと音を立てるだけで、すぐに南京錠がかけられている事に気がつく。
『やばいやばいやばい！
…あ』
ふと視線を下ろした先に、さっきの男がひっくり返した食事に混じって鍵が落ちていた。
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ろび - 夢小説で泣いたのは初めてです。こんなありふれた言葉でしか感想を言えない自分が悔しいのですが、本当に感動しました。素敵な作品をありがとうございました！ (7月6日 18時) (
レス) @page50 id: ce68512d6b (このIDを非表示/違反報告)
neon(プロフ) - 終始最高の作品でした。後半なんかもうバスタオル必須で、言葉では表せない感動がこみあげてきます。お話の中に引き込まれてしまう感覚がとても心地よくて一気に読み進めてしまいました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年2月26日 3時) (レス) @page49 id: db36888990 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - こんなに作り込まれてて最後の伏線回収まで素晴らしい作品でしたありがとうございました！ (2023年2月6日 2時) (レス) @page50 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃむ(プロフ) - 私の言葉で表せないくらい本当に感動するお話でした！一気読みさせていただいたのですが、ずっと涙がとまりませんでした。恋の行方だったり苦しい時代背景が相まって奥行きのある素敵なお話になっていました（ ; ; ）占ツク史上1番素敵なお話でした！！ (2023年1月1日 16時) (レス) @page50 id: ad70953f09 (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - 今まで1番読んでて面白いし止まらないし最高でした！！！ありがとうございます、、。 (2021年12月8日 3時) (レス) @page50 id: 9fa27182b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミロ
| 作成日時：2020年7月12日 22時
