五十八話 ページ9
『戦が…、始まったって…』
TH「…情報早いなー。」
へらっと笑うテヒョンに、彼の袖を掴む手が震える。
『約束通り、私も行くから。
ちゃんといつ出発するか教えてね?』
TH「うん、わかってるよ。
…それより、ちょっとお茶でもしない?」
『…え?』
『わぁ、いい匂い!』
侍女さんが運んできたお茶は花の匂いがして、口に含んだ瞬間風味が広がってふんわりと幸せな気持ちになった。
TH「あのさ、聞いてもいい?」
『うん。』
TH「前にAは、未来の世界では戦なんかないって言ってたでしょ?」
『言ったね。』
TH「それはさ、つまり。国が一つになったってこと?」
ゆらゆらと、松明の光がテヒョンの顔を照らす。
真剣な目で見つめられて、一瞬どう答えていいのか迷った。
『…そうだよ。
テヒョンの言う国が、どこからどこまでなのかは分からないけれど、国の中で争ったり、土地の奪い合いとか、そういうのはなくなる。』
TH「…そっか。」
それは、この時代から見たらきっと、あと1000年以上も先の話だけれど、だけど必ずやってくる。
TH「早く、Aの時代まで飛んで行きたいな。」
あなたの望む平和な世界は、必ず。
それから、たくさん未来の話をした。
学校のことや、職業のこと、文明のことなんかは…よくわかんないから私のわかる範囲で。
そうしてるうちにだんだんと眠くなってきて、カクン、と船を漕いだ私に、寝よっか。とテヒョンが囁き灯りを吹いて消した。
TH「ね?
今日は抱っこして眠ってもいい?」
『んー…、えー』
TH「何もしませんよ?」
『んー、なら。』
いつも起きた時、抱き枕にして寝てるくせに今更尋ねるなんて変なの。
おかしいって頭の片隅で思ったけれど、もう眠くてたまらなくて。
彼の温もりにつつまれて、眠りの世界へと落ちていった。
「 おやすみ、A 」
「それから、ごめんね 」
翌朝目が覚めると、テヒョンの姿はどこにもなくて。
とっくに枯れてしまったあの初めて会った日に彼が持ってきてくれた花の枝に手紙がくくりつけられていた。
いつだったか心配したように、漢字ばかりで書かれていてやっぱり私はそれを読むことが出来なかった。
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ミロ(プロフ) - 1ちゃんさん» やったー!とっても嬉しいです!(*^^*)続きも更新頑張りますね!もう少しで公開できます!遅くなり申し訳ないです…!! (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - あとさん» わぁ!それはすごく嬉しいご報告です!(*^^*)こちらこそ今までもお世話になっています!!世界観が好きと言ってもらえてとても安心しています。これからも仲良くしていただけるとうれしいです!コメントありがとうございました!(*^^*) (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - よしほさん» 嬉しいです!続き頑張りますね!(*^^*)(返信してしまいました…!) (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - てじそく.さん» てじそくさん…なんて嬉しいお言葉をくださるのですか!!( ; ; )本当に読んでいただきとても幸せです!これからも頑張ろうと思えます!!そうやって読んでもらえる話をこれからも増やせるように、頑張っていきますね!(*^▽^*) (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - Caramelさん» ドラマ化!テンション上がっちゃいました(*^^*)そうなんですよー!通勤電車とかわりと本当に倒れそうになります(`・ω・´)caramelさんもお体気をつけてくださいね!(*´∀`*) (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2020年5月15日 23時