九十話 ページ41
テヒョンの声って、普通に喋っていてもなんていうか色気がある。
ペースをもってかれそうで、むっと眉間に皺を寄せて見上げると、「何それ可愛い」なんてふにゃりと笑うんだから、テヒョンはジョングクの言うとおり目が見えてないのかも。
TH「A?」
『ん?』
TH「怒ってる?
俺が何も言わなかったこと」
『んー。
驚いたけど、お互い様だし。
今となっては、傍にいられる方が良かったかなって思ってるよ』
テヒョンの傍を離れることは心配だったから、こうなってむしろ良かったのかも。
ここにはジミンもいるし。
TH「なんかまた、男前なこと考えてるでしょ?」
『どんなことよ』
TH「…俺はね、
たまに怖くなるよ」
『何が?』
TH「いつか、俺の前からAがいなくなっちゃうんじゃないかって思うと…怖い」
小さくこぼされた言葉に、胸がちくっと痛んだ。
TH「なんて。
欲張りだよね?」
『テヒョン…』
欲張りじゃないよ。ずっとテヒョンの傍にいるよって。
そう言えたら良いのに。
事実、私はいつこの世界からいなくなるかわからない存在。
あまりに馴染みすぎて忘れていたけれど、私が今、こうしてテヒョンと話をして、触れ合えていることは、夢のような奇跡なんだ。
TH「Aは、
やっぱり…帰りたい?」
他の二人がいるせいか、どこへとは言わなかったテヒョンだけど、それが元の時代を差していることは明らかで。
『…うん。
帰りたいよ』
TH「…そっか」
そうだよね。と少し笑ったテヒョンの声を聞きながら、一瞬返事に迷ってしまった自分に驚く。
帰りたい、はずだった。
この時代のような美しい自然はないけれど、文明が発達し不便のないあの時代に。
人と人との繋がりがどこか希薄になってしまったけれど、戦なんてない私の時代に。
『だけど』
TH「え」
『私、まだここにいたいなぁ』
TH「…っ」
これは、紛れもなく私の本音。
いつかは帰る。
帰らないといけない。
だけど、叶うのなら…もう少しだけここにいたい。
きゅっと引き寄せられて、さっきよりもずっと近くテヒョンの暖かさを感じた。
彼の胸の鼓動が伝わってきて、それが心地よくて少しずつ眠くなる。
いつのまにか、こんなにも居心地の良い場所になってしまった。
テヒョンに対するこの気持ちには、
一体なんと名前をつければいいんだろう。
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ミロ(プロフ) - 1ちゃんさん» やったー!とっても嬉しいです!(*^^*)続きも更新頑張りますね!もう少しで公開できます!遅くなり申し訳ないです…!! (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - あとさん» わぁ!それはすごく嬉しいご報告です!(*^^*)こちらこそ今までもお世話になっています!!世界観が好きと言ってもらえてとても安心しています。これからも仲良くしていただけるとうれしいです!コメントありがとうございました!(*^^*) (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - よしほさん» 嬉しいです!続き頑張りますね!(*^^*)(返信してしまいました…!) (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - てじそく.さん» てじそくさん…なんて嬉しいお言葉をくださるのですか!!( ; ; )本当に読んでいただきとても幸せです!これからも頑張ろうと思えます!!そうやって読んでもらえる話をこれからも増やせるように、頑張っていきますね!(*^▽^*) (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - Caramelさん» ドラマ化!テンション上がっちゃいました(*^^*)そうなんですよー!通勤電車とかわりと本当に倒れそうになります(`・ω・´)caramelさんもお体気をつけてくださいね!(*´∀`*) (2020年6月16日 12時) (レス) id: 4091476ef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2020年5月15日 23時