花が咲くその時まで ２

七十九話 ページ30

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やってきたのは、以前汐恩と試合をした花郎用の競技場。
皇子二人が立会いの下の試合なんて随分仰々しいことだ。



竹刀を構え、偽ジョングクと向かい合う。

　


『…』

　


こうやって近くで見てみると、やっぱりそっくりだ。




だけど、私が知ってるジョングクより大人びて見える。
歳は、テヒョンやジミンと同じくらいかな。

　


じーっと執拗に見つめていると、それに気がついたジョングクがニッと笑った。

それは、さっきまでの人の良さそうな笑顔ではなくて。


　





　


「お前、国境近くの森にいた新羅兵だな」
『！！あんた、やっぱり！』

　


言い終わらぬうちに、ナムジュンさんの合図がかかり
その瞬間目にも留まらぬ速さで打ち込まれ、間一髪のところでそれを受け止める。


　


『っ、皇子が狙い！？』
「だったらどうする？」
『んなもん、ボッコボコにしてやるわ！』

　

大きな声を出した私に、偽ジョングクは余裕そうに笑うと、さらに打ち込んでくるスピードを上げる。


　




別に。
天狗になっていた訳じゃないけれど。


さっき向き合った瞬間から感じているこの感覚は久しぶりで。

試合前、竹刀を持つ手が震えた。

　


この時代に来てからも来る前も、最近は負けることなんてほとんど無くて。

　




『…くそ！』


　


だから今、どこを狙っても思考を読まれてるように流され受け止められることに絶望した。


やっぱり、こいつには勝てる気がしない。


でも、負けたくない！


　





こういう全方位死角のないような男に私が得意な突き技はハイリスク。
こんな激しい打ち合いの中じゃ、的も絞れないしまず外してしまう。

　


ああ、くっそ。


こいつ、顔だけじゃ無くてその実力も竹刀を振るう癖までもジョングクにそっくりなんだけど！？



　




「別に、ここの人間に手を出すつもりはない」
『…そんなの、信じられるか！』
「だけど、お前が余計な事を言えば…

皇子を殺す」

　



互いに噛み付くように重なった竹刀がミシミシと音を立てる。

前に闘ったユソン以上に強い力。

　









『…あんたは一体、何なんだ、』


「…」


　






　


こいつは、自分の実力への自信からか面の避けが甘い。

競り合いを解いて、引いてからの面で決めるしかない。

　


受ける力が緩んだら、一気に打つ。

相手の呼吸を読んで…


　









『！』

　




今だ！






　


　









　


NJ「そこまで！」

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