思い出より大切なもの【JM】 ページ26
『ジミンは絶対薄情なんかじゃないよ！』
眉をハの字にして俺に訴えるAは、自分がもう答えを手にしていることになんて気づいてないんだろうな。
「ありがと。
…俺も、本当はそう思う。
だから、今の言葉そのままAに返すよ。」
『…っ』
「これからどうするか、決めるのはAだけど。
俺はね？
ずっとジョングクに会いに行かなかったことをすごく後悔してるんだ。
だから、これからはたくさんあいつに会いに行こうと思う。」
会いた時間を埋められるように。
いや、埋められなくたっていい。
『…うん。ジョングクもきっと喜ぶよ。』
「そんな風に思えたのは、実はAのおかげなんだけどね？」
『…わたし？』
俺の言葉に驚いたように目を丸くしたAに、やっぱり自覚がなかったかと思って笑う。
Aがジョングクと知り合ったとテヒョンから聞いたのは、ほんのつい最近のことで。
事情を知った上でそれでもジョングクの側にいる選択をしたと聞いて、俺は正直複雑だった。
テヒョンのことを思うといたたまれない気持ちもあったけれど、
それとは別に、自分が出来なかったことを選んで進んでいくこの子が羨ましかった。
テヒョンがよく、Aは強い子なんだ。と言っていた意味をはっきりと理解した。
一度だけ、ジョングクが働く花屋の近くまで行ったことがある。
店先でAが花に水をやっていて。
時折、店の中にいるジョングクと何やら話をしていた。
その時に見たジョングクの笑顔は、昔俺やテヒョンの隣で見せていた顔とは似てるようだけどどこか違って。
それが、なんだか俺は嬉しくて。
そっか。
ジョングク、
好きな人ができたんだね。って、
気づけば涙が止まらなくなっていた。
それからすぐ、ジョングクが入院したって聞いて病院まで行ったわけだけど。
「Aのおかげで気づいたんだよ。
大事なのは過去じゃなくて、今なんだって。
もちろん思い出は大切だけど。
それがなくなったからって、あいつに会っちゃいけない理由にならないよね？」
『ジミン…』
大丈夫だよ、きっと。
なんの確証もないけれど。でも。
グッと唇を引きむすんで俺に頷いたAを見て、テヒョンがあそこまでこの子に惚れ込む理由が、わかった気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2680人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kairu(プロフ) - こんなに心を揺さぶられる作品は初めてで本当に読み終わった事が悲しいやら、嬉しいやらです。本当にひとつの素晴らしい映画を見終わった様な気持ちです。ジミンペンなんですけど、グクペンになりそうです。まだ涙が止まらないです。素晴らしい作品ありがとうございます (2021年4月27日 19時) (
レス) id: df72f9e897 (このIDを非表示/違反報告)
リユン - すごい感動しました！読んでいくうちに自然に涙が溢れてきて、読んでよかった！！という気持ちになりました､！ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 00bef8cb3c (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - そんな…泣かさないでぇ。涙枯れる (2020年11月28日 14時) (レス) id: e9d90d82df (このIDを非表示/違反報告)
kurikurina(プロフ) - すごい感動しました！！私が好きな小説と似ている設定だったので余計にグッとくるものがあって…最高でした！！ (2020年9月27日 1時) (レス) id: 5527e740c4 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - オトさん» わぁあ！それは嬉しすぎるご連絡です。すごく嬉しい・・・ありがとうございます！！(o^∀^o)どちらも思い出深い作品なので、そのように言っていただきとても嬉しいです。ありごとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2020年9月1日 23時) (レス) id: b1cdd73458 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミロ
| 作成日時：2019年9月29日 23時
