本当のこと【JK】 ページ34
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《ごめん。
最後に会った日、本当はAのこと覚えてたんだ。》
そこまで書いて、一度筆をおく。
何から伝えればいいかわからなくて。
手紙を残すこと、本当はとても迷った。
何も言わずにいなくなった方がいいかとも思ったけれど、いつかAが幸せになった時、俺の存在が邪魔になってしまわないように。
さっき、ここで思い切り手を振り払った時に見たAの顔がまだ頭から離れない。
明後日、韓国を出て日本の病院に移ることに決めた。
あれだけひどい態度をとったから、もうさすがにAは俺に会いに来ないだろう。
辛いけど、これで良かった。
Aには絶対、幸せになって欲しいんだ。
だって、
Aは俺の、初恋の女の子だから。
俺が本当に初めてAに会ったのは、まだ中学生の頃のことだった。
ユンギヒョンに言われて、高校に桜の苗木を植える手伝いに行った時に、責任者ですと言って俺に挨拶しに来たのが当時高校一年生のAだった。
あの頃の俺は、家の手伝いに嫌気がさしていて、Aの高校に行った時も嫌々で、態度だってすごく悪くて。
だけどAは、そんな俺に嫌な顔をせずに、にこにこ笑っていて。
ただ、手伝ってくれてありがとうって。
そして、【
変な人。
そう思ったけれど、何故だか俺は彼女の笑顔をもっと見たいと思った。
今植えている桜が綺麗に咲けば、どれだけ喜んでくれるだろうって。
そう思うと自然に手も動いて、あれだけめんどくさいと思っていたのが嘘のように俺は作業に夢中になった。
俺が花屋の仕事を好きになれたのもその日から。
誰かのことを笑顔に出来る仕事だと思えば、悪くないと思えた。
そして名前も聞けなかったその女の子が俺の心に住み着いて離れなくなったのも、その日からだった。
それから数年がたち、たまたま町でAに似た人を見かけたことがあった。
思わず追いかけてしまった俺は、その日俺の誕生日でずっと待っていてくれたヒョンとの約束を守れなくて。
だから、事故にあったのはその罰だったのかなって。
そう思っていたから、その一年後にAに再会することになるなんて思ってもみなかった。
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kairu(プロフ) - こんなに心を揺さぶられる作品は初めてで本当に読み終わった事が悲しいやら、嬉しいやらです。本当にひとつの素晴らしい映画を見終わった様な気持ちです。ジミンペンなんですけど、グクペンになりそうです。まだ涙が止まらないです。素晴らしい作品ありがとうございます (2021年4月27日 19時) (レス) id: df72f9e897 (このIDを非表示/違反報告)
リユン - すごい感動しました!読んでいくうちに自然に涙が溢れてきて、読んでよかった!!という気持ちになりました、! (2021年2月14日 23時) (レス) id: 00bef8cb3c (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - そんな…泣かさないでぇ。涙枯れる (2020年11月28日 14時) (レス) id: e9d90d82df (このIDを非表示/違反報告)
kurikurina(プロフ) - すごい感動しました!!私が好きな小説と似ている設定だったので余計にグッとくるものがあって…最高でした!! (2020年9月27日 1時) (レス) id: 5527e740c4 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - オトさん» わぁあ!それは嬉しすぎるご連絡です。すごく嬉しい・・・ありがとうございます!!(o^∀^o)どちらも思い出深い作品なので、そのように言っていただきとても嬉しいです。ありごとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2020年9月1日 23時) (レス) id: b1cdd73458 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2019年9月29日 23時