なんでよ、バカ ページ26
『さ、早く行かないと遅れちゃうよ？』
「あ、そうですね、」
ありがとうございましたと何度も頭を下げてくれた女の子を笑顔で見送った後、
『…やべー。』
先程までツキツキと痛む程度だった手首が、なんかもう動かすたびにミシミシと痛むようになってしまったことに冷や汗が止まらない。
「ビョン・Aさん、もうすぐ順番になりますのでご準備お願いします。」
『あ、はい！』
呼ばれてしまった。
焦る気持ちのまま控え室を出て、舞台に向かう途中で作曲者達の控え室にいたユンギ君と目が合った…気がした。
・
『これはもう…
腹をくくるしか…』
一つ前の演奏者の発表を聞きながら舞台袖で元気玉を集める。
ああ、本当に私の馬鹿…！
自分で怪我を悪化させるなんて！
いや、でもあの時動かなかったらあの子は転んでたんだし…。
ズキズキと痛む手首を睨みつけ、心の内で覚悟を決める。
よし、もういい。
今1番大事なことを優先させよう。
『根じょーう！ファイッ
「ヌナ？」
…オー…』
背後から聞こえた馴染みのある声に身体がピシリと岩のように固まる。
「手首。怪我したの？」
『…ユンギ君。
何で…？』
ぐっと眉を潜めた彼を見て、慌てて腕を背中に隠す。
YG「さっき、通りがかった時に青い顔してたから心配になって。
ていうか今も顔色最悪だけど？」
『…まじかぁ。めちゃくちゃはっきり言うてくる…。
あ、痛っ！…くない！』
YG「嘘つくな。腱鞘炎？」
『う、恐らく。』
隠してた腕を掴まれて、思わず口から溢れた悲鳴に自分をぶん殴りたくなった。
YG「ヌナ、棄権し、」
『いや！！』
それは、それだけはダメ。
YG「無理しないでよ。その状態じゃ弾けないって。」
『気合でどうにかする。』
YG「ヌナ…」
困った顔をするユンギ君に、申し訳なくて、不甲斐なくて涙が出そうになる。
『この曲は、絶対に絶対に世に出さなきゃいけない。』
YG「そんなの、他にいくらでもやりようあるじゃん。」
『だけど、よくわかんないけど、今あの観客席に座ってる偉い人達に聞いてもらえるチャンスは、中々ないでしょう？』
ここにくる途中の車で、事務所のスタッフさんが言ってた。
このコンクールは、数ある作曲コンクールの中でも規模が大きいって。
『ごめんね、それなのにこんなことになって。
本当にごめん。』
YG「…」
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Liz(プロフ) - 突然失礼します！！ミロさんのマシンヌンキム家が本当に大好きです。もう何度読み直したか分かりません。読む度に大好きが増していきます。いつか、また新たなマシンヌンキム家が読めたらとっっても嬉しいです。改めて、読んで幸せになれる作品をありがとうございます！ (2023年3月30日 17時) (
レス) @page50 id: d1d28ca630 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - ミロさん、はじめまして。初めてコメントさせて頂きます！私はミロさんの『マシンヌン』が大好きで、公開されてからずっとずっと読み続け、何回いや何百回と読んでます！その度に癒され涙し感動し笑い癒されてます。また帰ってきたマシンヌンあったら嬉しいです！ (2022年10月30日 14時) (レス) @page50 id: bdc30337aa (このIDを非表示/違反報告)
たきゆ(プロフ) - ミロさーん 何回読んでも涙がでてしまうではないですか!良かった 良かった！これからもずっとファンです〜 (2022年10月28日 3時) (レス) @page50 id: 088e3725a7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し83058号(プロフ) - まだ、続きが見たいです🥺お気に入りなので、終わってほしくないです… (2022年10月26日 3時) (レス) @page50 id: 2732bc1be1 (このIDを非表示/違反報告)
クサズのエクボにハマりたい(プロフ) - ずっと読み返したかったので嬉しいです (2022年10月19日 8時) (レス) @page50 id: d78d833968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミロ
| 作成日時：2020年2月23日 21時
