なかったことになんて ページ43
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『あ…れ…。』
どんくさいことに階段を踏み外し、
確かな浮遊感を得た後、次に訪れるはずの衝撃に怯えぎゅっと目をつむったのだけど…。
JK「…あぶなっ」
ゆっくりと目を開くと、
目の前には、少しだけ呆れたようなジョングク君の顔。
私の腰にしっかり回された彼の腕のおかげで、
階段から転げ落ちずに済んだようだった。
いや、あっぶなー。
何してんだ、私…!
後ろを振り返り、落ちてたら骨折れてたかも…と恐ろしくなって生唾を飲む。
『あ、ありがとうございます。
ジョングクく…』
もう一度、彼の方を振り返って、
そして、
思わず息を飲んだ。
JK「…気をつけてください。
…それじゃ。」
『あ…はい、』
ゆっくりと私の腰から手を離し、背を向けて去っていく彼の後ろ姿をぼんやりと見つめる。
『…馬鹿だ、
私…っ』
ジョングク君と過ごす時間が少なくなって、
なんとなく、このまま私も彼も何もなかったかのように、いつかは彼も卒業して、そのうち全くの他人になってしまうんだろうな、なんて。
そんなことを考えていた私は、
本当に馬鹿だ。
さっき、振り返った時に見た彼の顔を思い出し、どうしようもない自分にめちゃくちゃに腹をたてる。
ぐっと寄せられた眉の下の彼の瞳は、今にも涙がこぼれ落ちそうなほどに濡れていて。
彼が泣かなかった代わりに、
今、涙は私の頰を伝っていた。
何もなかったことになんて出来るはずないじゃないか。
あーだこーだと踏みとどまらせようとする、型にはまったクソ真面目な自分とは、ここでお別れする。
『校長先生!!』
校長「A先生!?
どうしたんです?」
息を切らしたまま職員室に飛び込むと、会議のため揃っていた先生達が訝しげな表情を浮かべて私に注目する。
『私の話を聞いてください。』
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JinJin?(プロフ) - ジンくんの片思いが終わっちゃうのかな。諦めちゃうのかな。先生の幸せを願うジンくんだから、このままやっぱり伝えない選択をしそうだけど、告白はして欲しいな〜 (2022年5月2日 12時) (レス) @page37 id: 906ff65d51 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - Agust dさん» 私もこのお話のテヒョン君、気に入ってるので嬉しいです(*^^*)3人の男子高校生感が書いてて楽しくて笑私の癖なんですが、必要以上にサブメンバーを愛してしまうんですよね。メインが薄くなるので考えものですが、そう言ってもらえて安心しました(*^ω^*) (2019年10月22日 23時) (レス) id: 5bc7eaedbd (このIDを非表示/違反報告)
Agust d(プロフ) - テヒョンさんが最高のポジションでいい意味で四次元でした。 この作品もジミンさんの恋心は感涙にむせぶ思いでした。 ジンさんの男らしさも強くて脆い感じが大好きです。 ミロさんの作品はサブメンバーがとても素晴らしいと思います!が (2019年10月22日 12時) (レス) id: fea73733b9 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - AULA−輝きさん» 傷ついた思い出が、今の素敵なAULA様を作ったんですね。私なんぞが偉そうに言えることなんて何もないですが、大事な恋のお話が聞けて、胸がいっぱいになりました。ありがとうございます。これからもお互いお話し作り頑張りましょうね(*^^*) (2019年10月21日 20時) (レス) id: 5bc7eaedbd (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - AULA−輝きさん» AULA様 コメントいただかありがとうございます(*^^*)自分の気持ちに真っ直ぐなAULA様も素敵ですが、相手の方も、AULA様の気持ちを受け止めたからこそきっとたくさん悩まれたんでしょうね。お2人共とても素敵な方ですね。(*´-`) (2019年10月21日 20時) (レス) id: 5bc7eaedbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2019年6月19日 21時