教室の中 ページ18
JK「ていうかさ、もっと自信持ったら?」
『何が?』
ジョングク君を見上げると、さっきのジミンみたいに私の手をとって、薬指はめられた指輪に触れる。
JK「Aよりも数倍独占欲強いやつがいると思うけど」
『…え?』
JK「俺には、まっすぐ過ぎて眩しい」
するりと解かれた手。
眼鏡のガラス越しにあったジョングク君の瞳が揺れているように見えた。
近くでゆらゆら燃える焚き木の火のせいかもしれないけれど。
離れてしまった彼の手を追うように手を伸ばしかけた時だった。
「A…!」
人混みの中から声が聞こえて顔を上げると、集まる人をかき分けてテヒョン君が姿を現した。
『テヒョン君…』
TH「だいじょうぶ?あっちからAがひっくり返るのが見えて」
すぐにとんできてくれたのかな?
差し伸べられた手を掴むと、そのまま引っ張り上げられる。
TH「行こ」
『えっ』
私の手を掴んだテヒョン君の大きな手に力が入り、火を囲うたくさんの人達をすり抜けて、二人で誰もいない校舎の中へ入る。
TH「だれもいないね」
『そうだね』
一階の一年生の教室。
窓からは校庭の様子がよく見えるのだけど、静かなここと外とはまるで世界が違うみたいだった。
中からでも明るく燃えているのが分かる火を瞳に映し、薄暗い中外からの微かな光だけがテヒョン君の顔を照らしていて。
ウェイター姿もかっこよかったけれど、制服姿もよく似合うな。
TH「もう制服だけじゃ寒いね」
『だね。セーター着なきゃ』
TH「白?」
『テヒョン君も白じゃん』
なんでもない会話。
4月から約半年。学校の有名人の彼とまさかこんなにも仲良くなれるなんて思ってなかったよ。
『そうだ、優勝おめでとう!』
TH「あー、ありがとう」
『かっこよかったよ!!』
素直に褒めると、テヒョン君はやめて。と恥ずかしそうに俯いてしまう。
謙虚だなぁ。もっと堂々としてもいいのに。
『なんか、遠いひとになっちゃったみたい』
TH「そんなことないよ」
『そんなことないか』
TH「そうだよ」
『あ、そうだ!忘れないうちにこれ返す!』
はめっぱなしだった指輪をぐいぐいと抜いてテヒョン君の手に預ける。
TH「…返さなくてもよかったのに」
『そんなわけにはいかないよ』
TH「こいつ、役にたったのかなー」
片眉をあげてつまみ上げた指輪を睨むテヒョン君。
彼の指に戻った指輪は元の輝きを取り戻したみたいに見えた。
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ミロ(プロフ) - ももなさん» ももなさん!私も大好きですよ!(o^^o)少しでもあったかい気持ちになってもらえてたら幸せです!(TT) (2020年10月23日 23時) (レス) id: ffc43d4874 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - キム・カズさん» 私も大好きです!!! (2020年10月23日 23時) (レス) id: ffc43d4874 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - キム・カズさん» カズしゃん!この主人公心の声もガバガバなんでちょっと尊敬しています笑読んで下さりありがとうございます(>人<;) (2020年10月23日 23時) (レス) id: ffc43d4874 (このIDを非表示/違反報告)
ももな(プロフ) - 大好きですミロさん!!!!本当にミロさんのお話は全部あったかいです(TT) (2020年10月22日 0時) (レス) id: 01ec482e54 (このIDを非表示/違反報告)
キム・カズ(プロフ) - みろしゃん…もう大好き!!主がクラスの女子に好かれてる感じも好きだし、あんまり怯まない主好きっす!! (2020年10月19日 1時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2020年10月18日 18時