中途半端【TH】 ページ45
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目が覚めた時にはもう、大事な商談の1時間前だった。
熱のせいか、揺れる視界のままスーツの袖に腕を通す。
ふらつく足で一階におり、そういえばAがユンギヒョンに見張らせるとかなんとか言ってたっけと思いながら、辺りを注意して見たけど、談話室のソファーでぐうぐう眠る寮父を見つけて、グッとガッツポーズをする。
「そのまま寝ててね、ヒョン。おやすみ。」
ゆっくりと隣を通り過ぎ、寮を出てタクシーに乗り込んだ。
「は、部長が行った?」
HS《そうそう。だからお前はゆっくり休んでたらいいよ。》
ホソク主任に電話をすると、予想もしてなかった人のお出ましに驚いてつい大きな声が出た。
「…ジョングク達は?」
HS《三人で向かったよ。
ていうか、お前今どこだ?》
「すみません、またかけます。」
おい!と切りぎわに怒った声が聞こえたけど、かまわずそのまま切り、急いで部長の番号を表示させてコールボタンを押す。
てっきり主任が向かうとばかり思っていたから、まさか部長が代わりに出てくるなんて…。
何度鳴らしても出ない部長に、諦めて窓の外を見る。
何やってんだ、ほんとに。
このタイミングで体調くずすなんて、最悪だ。
会社まで到着したけれど、部長からの連絡はなく、おそらくもう商談は始まっているんだろう。
下手に動ことも出来ず、会社の前で3人が出てくるのを待つ。
手応えは、あった。
順調にいけばまとまる話だったはずなのに、ここ数日はどうも不安だった。
会社の方針として、時代に合わせてもっと手ごろな価格で種類の豊富な服を楽しめるよう、高級ブランドのアザレアよりも、比較的親しみやすい価格と良い素材が謳い文句のルピナスを売り出したいというのがあった。
幅広い年齢の人々が足を運ぶショッピングモールに出店することで、その脚がけになればいいと思った。
なんとしても取りたい案件だったのに…。
「あの、大丈夫ですか?」
「え?
あ、はい。大丈夫ですよ。」
「でも、顔色が…」
「ちょっと寝てなくて…。
でも平気なんで、心配しないでください。」
よっぽど顔色が悪いのか、心配して声をかけてくれた会社員らしき女の人に笑いかけると、彼女は顔を赤くして頭を下げるとそのままパタパタと去っていった。
A以外の女の子には上手くできるのに、
あいつに対してだけとことん不器用な自分が嫌になる。
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ミロ(プロフ) - ガムさん» ひぇぇえ!そんなに褒めてもらえて恐縮です(>人<;)でもすごくすごく嬉しい!!ありがとうございます!(*^^*)最後まで更新頑張りますね!(^^) (2020年4月29日 9時) (レス) id: 5d7ae6ba18 (このIDを非表示/違反報告)
ガム(プロフ) - 久しぶりにめちゃくちゃ最高な作品を見つけました。ちゃんとキュンキュンして、笑えて、すごい素敵なラブコメディーです!!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年4月22日 1時) (レス) id: 10c5a3095c (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - Bigloveさん» 年齢層気になるんですよねたまに…(笑)終わり方良かったですかー!?嬉しいです!!第二章はもっと恋愛ネタが書けるようにしますね!それから寮父も出したい…(笑)続きも頑張るので、どうか見守ってやってくださいっ!! (2020年4月4日 0時) (レス) id: 5d7ae6ba18 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - ナツarmyさん» 尊敬だなんて…とんでもございませんが、テテペンさんなんですね?(o^^o)この先も楽しんでいただけるよう頑張るんで、またお付き合いいただけるとうれしいです!いつも暖かいお言葉をありがとうございます!(*^^*) (2020年4月4日 0時) (レス) id: 5d7ae6ba18 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - kinoko5872さん» お返事遅くなり申し訳ありません。私、語彙力がないので、言葉で遊ぶようにしてるのですが、そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです!!(//∇//)これからも更新頑張ります!kinoko様もどうかお体ご自愛くださいね(;_;) (2020年4月4日 0時) (レス) id: 5d7ae6ba18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2020年2月27日 22時