ブラザーズ・コンプレックス【完】

許されない想い【HS】 ページ43

ジョングクは、二人の母親であるハウンさんが、前の旦那さんと結婚する前に俺の父さんとの間に出来た子供だった。


二人は俺の本当の母さんが亡くなった後に出会ったらしい。


だけども結ばれず、
子どもが出来ていることに気づかずに政略結婚したハウンさんは、元々多忙だったらしい旦那さんに隠れてジョングクを産み、その時の体への負担が原因で二度と子どもを望めない体になった。


それを知った元旦那は世間体を気にしてジョングクを自分の子どもということにしたけれど、愛することは出来ず、変わりにジョングクに目元がそっくりな赤ん坊を施設から引取って養子に迎え入れた。

それが、A。

　

結局、元旦那とうまくやっていくことができなかったハウンさんは、数年後父さんと再会して、再婚することになり、そうして、複雑な俺達3人兄妹が出来上がった。


　



それを聞いたとき、俺は勝手な二人が許せなくて。

父さんの転勤が決まり、赴任先の日本に向かう飛行機に乗る直前だった二人を問いただした。

　

その結果、乗るはずだった飛行機に間に合わず、代わりに乗った次発の飛行機が事故にあい、二人は帰らぬ人となった。


　


今思えば、きっと二人には二人の事情があったはずなのに、頭ごなしにせめて、傷つけて挙句の果てにそのせいで二人は死んだ。



　





だから…



　





「二人が死んだのは俺のせいのようなもんなんだ。」





　




全てを伝え、ただただ瞳を揺らすAに…

合わす顔なんて、ない。

　




　
「ごめん、なんて言葉じゃ片付けられないね。」


　


失意の中、死んだ二人の代わりに弟と妹を守ることだけを誓ってここまできた。


　
『泣かないで、ホソク君、』

「泣いてないよ？

泣いてるのは…
Aだよ。」

『…。』

　

全部全部俺の勝手で全てを隠してきた。

二人が知ってしまったら、俺達三人までもがバラバラになってしまうかもしれないって。

そんな風に理由付けて俺は自分の罪を隠した。



ずるいよね。本当に。


　



それなのに、

　



『…ホソク君、つらかった？

つらかったよね、絶対…っ、

ごめんね…』


　
この子は、

泣きながら、俺なんかの心配をする。


　
自分の方が混乱してるはずなのに。馬鹿だなぁ。







　





　









　






　


この子を。

愛さずにいられる方法があるなら教えて欲しかった。

　



そしたら、

許されない想いに苦しむこともなかったのに。

　

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