過去【HS】 ページ42
・
『ん…ホソク君…?』
「A…
良かった。」
パチパチと、眩しそうに瞳を開いた妹に、心の底から安堵する。
『あれ、私…、
そ、だ、テヒョン君は!?』
「A、泣き疲れて眠っちゃって。
テヒョン君が俺を呼んでくれたんだよ。」
『…そう。
ああ…迷惑かけちゃったな。
何やってんだろ、私…。』
ベッドから起き上がり、ぎゅっと布団を抱きしめて涙ぐむAに、自然と伸びた手を、感情を抑え込むように握りしめる。
「まだ、怖い?」
『え?
…ううん、最近は平気だったの。
二人が亡くなってからもう随分経つし。
ホソク君もオッパ…も、そばにいてくれたから…。』
そう言って力なく笑ったAは、全然平気そうには見えなくて。
『ホソク君?』
「ほんと、お前の辛さとか痛みとか全部俺のところに流れてきたらいいのにね。」
『何言ってるの?そんなのやだよ…』
Aの隣に腰かけ、柔らかい髪の毛を撫でる。
本気で思ってるよ。
お前が傷つくことは、自分がそうなるよりもずっとずっと辛い。
なんて、
俺にはそんなことを言う資格なんてないのに。
「A。」
『ん?』
「そろそろお前にも、本当のことを話さなきゃいけないね。」
『本当のこと…?』
ジョングクには、この間全て話した。
あいつにだけ話すわけにはいかないから。
俺を見上げるAの瞳は、とても真っ直ぐで。
全てを話せば、もうこんな風には俺を見てくれないかもしれない。
…それでも。
「あの日、父さんと義母さんが死んだのは、俺のせいなんだ。」
『…え?』
「その話をするためには、もう一つずっと言えなかったことをお前に話さなきゃいけない。」
『…何?』
怖い。
とでも言うように俺の服を掴んだAの手をきゅっと包み込む。
ごめんな、本当に。
「Aとジョングク…
二人は、血の繋がった兄妹じゃない。」
『…、
え?』
「ジョングクと血が繋がってるのは、俺のほうなんだ。」
目の前で瞳を見開いて固まるAを見て、申し訳なさに胸が苦しくなる。
Aとジョングクには血の繋がりがない。
俺自身もそのことを知らないまま、数年を過ごしていた。
知ったのは、3年前。
両親の乗った飛行機が事故にあう数時間前のことだった。
2267人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミロ(プロフ) - みみ仔さん» コメントありがとうございます(^ ^)結構最後まで引っ張ってしまったのですが、結局のところ主人公はホソクさんが大好きだったので、他の2人にはすごく申し訳ないながらも、私もこのオチで満足してます笑なのでそう言ってもらえて嬉しかったです(*^▽^*) (2020年4月3日 0時) (レス) id: 5d7ae6ba18 (このIDを非表示/違反報告)
みみ仔 - ホソクさんメインのお話少なくて、またこのような感動的なお話が読めて私は幸せです。また、最後のホソクさんに告白をする場面、テヒョンやグクには申し訳ないですがホソクさんで良かったなと思いました。最後の場面がどうなるか予測不可能でした。(笑) (2020年3月22日 4時) (レス) id: abbe16bc2b (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - さきさん» さき様 ありがとうございます(;_;)今回かなりジョングクが切なくて…。私も書きながら辛かったのですが、共感してくださって嬉しかったです(*^^*)みんなを幸せに出来ないのが辛いところですね。またジョングクも幸せにしてあげたいと思います!!(*^_^*) (2020年3月15日 22時) (レス) id: 5d7ae6ba18 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 今回のお話はすごく切なかったです。ミロさんの作品全て素敵で切ない作品と多いのですが今回は特にジョングクの複雑な兄弟愛とテヒョンの優しさが余計に切なくなりました…。すごく感動して毎話泣くくらいの勢いで号泣しました。素敵な作品をありがとうございました!! (2020年3月12日 2時) (レス) id: 71073e79d4 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - よしほさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*^^*)読んでくださる方がキューってなるといいなと思って書いたので、ガッツポーズしちゃいました(*^^*)他のも読んでくださるのですか?とても嬉しいです!是非仲良くしてください!(*^_^*) (2020年3月10日 22時) (レス) id: 5d7ae6ba18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミロ | 作成日時:2020年2月12日 22時