ヲタクに恋して (ページ38)

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「はい。」

JK「まだ子供だった俺を成長させてくれたのは、メンバーとユイさんなんだ。」

「はい。」

JK「いつでも暖かくて、面倒見が良くて、太陽みたいで、こんなに近くて好きにならないわけない。」

堰を切ったように溢れる彼のユイ姉ちゃんへの想いに心が震える。

JK「ずっと、恋人がいたのは知ってたし、今回結婚が決まって、赤ちゃんもできて、諦めなきゃいけないのはわかってるのに。」

彼の瞳いっぱいに溜まっていた涙がとうとう溢れ、顎を伝って落ちた。

JK「やっぱり諦められない。好きなんだ。俺はアイドルなのに。こんなこといけないのに…！！」

肩を震わせる彼が子どもみたいで、気が付いたら身体が動いていた。

そっと、彼の手を取る。

「ジョングクさん、顔をあげてください。」

俯いたま首を振るジョングクさん。

「そうやって自分を責めるのはやめてください。あと、ヲタクのことなめすぎですよ。」

ケラケラと笑うわたしに驚いてい顔を上げる。

「結局ヲタクなんてヤツが願うのは推しの幸せです。推しがそんな顔してたらジョングクさんのファンの方達が可哀想ですよ。」

JK「でも、」

「可哀想は違いますね。あなたはあなたのファンのためにそんなにも悩んで苦しんでる。あなたのファンは幸せ者です。」

JK「そんなわけ！」

「いーえ！ヲタクが言ってるんだから説得力あるでしょ？」

そう言ってニヤッと笑うと、彼もこわばった顔から少し気の抜けたように笑った。

「ユイ姉ちゃんには伝えましたか？」

JK「一生言わないつもり。」

「そうですか。」

こればっかりは簡単に背中を押せない。
ジョングクさんがそう決めたなら、そうすべきなんだと思う。

JK「でも。誰かに聞いてもらえてよかったかもしれない。」

「そうですか？」

JK「うん。これでやっと思い出にできる。」

そう言うと、彼はにっこり笑った後、申し訳なさそうに目を伏せる。

JK「今までごめん。ユイさんの代わりって言われたあなたが来たこともあって、ずっと八つ当たりしてた。ほんとに大人気ない。」

「まあ、ジョングクさん実際子どもだし。」

JK「！こ、子どもではないけど！！…とにかくごめん。やっぱりユイさんの従姉妹だ。Aさん、良い人だった。」

「もう気にしてないです！」

そう言うと、ジョングクさんはケラケラと楽しそうに笑ってくれた。
初めて見る屈託のない、ステキな彼の笑顔だった。