ヲタクに恋して (ページ27)

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夜11時

やっとメンバー全員が帰宅し、ユンギさんの部屋に集合する。

「じゃあ、再生しますけど、その前にいいですか？」

YG「なに？」

「それぞれ受け止め方は違うと思うんで、賛否両論あるとは思うんですが、それでも、悪口みたいなものが私の耳に入った場合、私は私を止められる自信がないので、それだけは先に言っておきます。」

RM「恐ろしい。」
JH「気をつけます」

「それじゃ、始めますね。」

リモコンの再生ボタンを押すと、見慣れたライブ前のステージが映し出される。興奮気味の観客たち、、、真っ暗な中光るペンライト。私の大好きな光景。

TH「出てきた！」

割れんばかりの歓声とともに出てきた7人の男性。

一曲目が始まると、彼らはいつものように、とびっきりの笑顔で歌い、踊り始めた。

かっこよくて素敵なわたしの大好きな人たち。

テレビの中の彼らに釘付けになって、肝心のみなさんの反応を見るのを忘れていた。

え、なんか全員が食い入るように見ている。
大好きなレインボーズの声が響くだけでそれは静かなもんだった。

JM「楽しそう、、。」

ぽつりと呟いたジミンさんの言葉は、誰に向けられたものか。

そして、わたしの大好きなレインボーズはまだまだこんなもんじゃない。

JH「え！？バンド！？！？」

「はい。」

彼らの武器の１つにバンドがある。

「彼らも自分で、曲作ってます。自分たちのやりたい音楽を自分たちの手で届けます。」

全員スタンバイが完了し、スネアのカウントで曲が始まる。

YG「しかもロック…」

RM「この曲好きだな。」

その後も、彼らはいつも通り、終始楽しそうに演奏を終え、あっという間にテレビの画面にエンドロールが流れた。

完全にDVDが停止してからも、誰も何も言葉を発さない沈黙が続いた。

耐えきれず口を開く。

だって、伝えたいことがある。

「えっと、こんな感じです。あの、彼らも本格的にバンド曲やり始めたのは途中からで、そりゃ最初はひどかったんですよ。ファンからも、バンドはやらなくていいんじゃないかとか言われたりもして。」

彼らは、勝手に話し出した私にちゃんと耳を傾けてくれている。

「でも、好きだったんでしょうね、やりたかったんでしょうね。彼らはそれでも諦めなくて、今、ここまできました。」

JN「うん、すごいね。」

優しく頷いてくれるジンさん。

どうしてか涙が溢れてくる。