隠れメインディッシュの前菜 ページ15
「さあさあ！ 生徒の発表は終わりましたが、忘れてはなりません！」
「教師陣サプライズパフォーマンスの存在を！！！！！」
「毎年、くじによって決定した、２名の教師が思い思いに行う、ちょっとした遊び心のあるイベントです！ 今年は生徒が、かなりレベルが高かったものの、実はこれ目当ての悪魔も、多いのではないでしょうか？」
……司会がマルバス・マーチに変わった途端、かなり雰囲気が可愛くなったような。
「しかも今年は、パフォーマーがかなり豪華です！」
「まず、見事優勝した問題児クラスの、演奏パートを指導！ ピアノを弾く姿が大の評判！
問題児クラス担任、ナベリウス・カルエゴ先生！」
…………紹介が派手。
マルバス・マーチがこれを語っていると思うと、かなりのギャップを感じる。怖い。
「そして、２人目！ その腕は言うまでもないでしょう。
バビルス音楽教師、フェネクス・モネ先生！！」
…………ん？
なんだか、、
雑？
「今年はこのお２人によるデュエットです！ 是非、味わってください！！」
………まぁ、いっか。
「……今更だが。この曲で良かったのか？」
「舞台上で私語は厳禁ですよ」
「…………いくぞ」
「はい」
「…………これ、」
「気づきました？ ダリ先生」
「……てか、エイト先生は知ってたんだね」
「まぁ、曲に関しては相談を受けたので」
「…………まさか、【六色のピアノ】の曲を使うとは、ね」
ーーそう。
現在、モネとカルエゴが演奏しているのは、あの曲。
発案者はエイトの、あの曲である。
とは言っても、メインパートはヴァイオリンになるように編曲し、時間に間に合うようにした、短縮オリジナルバージョンである。
しかし、流石は音楽教師というべきか。
ポロの瞳が揺れたことに気づく者はいなかった。
が、誰一人として、その興奮を覚まさぬままに、声を出すことさえも忘れて見惚れる、最高の会場を、モネはそこに作り出した。
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作者名：Sela | 作成日時：2023年3月19日 10時
