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「あーもう泣くな泣くな…」なんて言いながら憲剛は背中を擦ってくれる。

その手は暖かくて、優しかった。
私が小さい頃からずっと知っている手だ。

いつの間に、こんなしっかりしたんだこいつ。

「勘久郎が何度も泣いてたんだよ」
「…うん」
「酷いときは3徹位してた」
「…うん」
「悪い嘘ついた、7徹」
「…嘘でしょ?」
「いいや、本当だぜ?」

憲剛が苦笑を浮かべる。

「ちなみに俺は4徹」
「愛の差」
「そりゃ仕方無ぇだろうが」

不意に、憲剛が私の頭をわしゃわしゃっと雑に撫でる。

「お前が帰って来ねぇとこっちも調子出ねぇっつんだ。つべこべ言わず帰って来い」

憲剛が余りにも私を真っ直ぐに見つめて来るので、少し驚いた。

なんて、その時は涙か溢れて考える暇もほとんど無かったんだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「で、清華さん。勿論何かあるんスよね?」
「無論、よ。長くは無いとは言えAだって私の娘だもの。言われるままに『はいどうぞ』なんて言えないわ」

清華さんは今までとは違い少し含んだような笑みを浮かべていた。

「とは言え、ここでAも居ないのに口論しましょうなんて言わないわ」
「なら、何を?」

なんとなく、察しはついていた。
この人だってAを想っているのだ。

「貴方にお願いを聞いて貰おうと思ってね」
「…お願い、っスか」
「そう、お願い」

すると清華さんは立ち上がり、自分のスマホを取って僕に見せた。

「あの子との連絡の許可、ついでに貴方とも」
「Aは想像ついてたっスけど…僕もスか」
「えぇ、念には念を入れておくものでしょう?違うかしら?」

強気な清華さんの態度に返す言葉を見失う。

「一応言っておくんスけど、僕、ちゃんと犯罪者とかじゃなくAと幼馴染みスからね?」
「信じてない訳じゃないわ。さっきも言ったけど念を入れてるだけよ」

まぁ、清華さんの中で僕が騙していたりする説は潰えて居ないようだが、取り敢えずはいいとしておこう。

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もうすぐ19巻発売ですね!
絶対泣ける。表紙だけで5分は泣ける←

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フウ - とっても面白いです。続き待ってます。がんばってください。 (2020年9月21日 21時) (レス) id: 2c5b698759 (このIDを非表示/違反報告)
水麟(プロフ) - プリンさん» ありがとうございます!返信遅くなっちゃってほんとにごめんなさいっ汗…頑張ります! (2019年12月7日 22時) (レス) id: 0dc0777a12 (このIDを非表示/違反報告)
プリン - とっても面白いです!続き待ってます!私の中で、お気に入りの夢小説です!これからも更新頑張ってください! (2019年9月5日 15時) (レス) id: 1dc5fb63e0 (このIDを非表示/違反報告)
水麟 - miさん» すっごく嬉しいです!私なんてまだまだですっ、これからもそう言って頂けるように頑張りますね!ありがとうございます! (2019年7月28日 23時) (レス) id: 65c8c71a9b (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - すごく面白くて見ては見直してを繰り返してます! 自分も小説を書いてる身なんですけど水麟さんみたいに書けないのでとても尊敬します!!これからの更新楽しみにしてます!頑張ってください!!! (2019年7月27日 21時) (レス) id: fb6e5b6ebe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水麟 | 作成日時:2019年4月21日 17時

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