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穏やかな空気が鼻を擽る。
あぁ、戻って来たんだ、私。
船から降りるのに、勘久郎が車椅子を押してくれる。
小さく音が鳴って車椅子が島の地面に着いた。
不思議な感覚があった。
一年前までは、ここに居るのが当たり前だったのに。
どうしたらいいのか、急に不安になった。
有馬さんに、傘下の方に、島の人達に、どんな顔をして、接すれば良いんだろう。
「大丈夫、皆歓迎してくれる筈っスよ」
勘久郎が私の顔を伺ってかそう言ってくれた。
「ありがとう、勘久」
「ハァイ、Aちゃ〜ん!おっ久し振りだねぇ」
前から聞こえた、陽気なその声に驚きバッと顔を上げる。そこには、一番どんな顔をしたらいいのかを見失っていた人がいた。
「有馬さん……」
でも、言わなくてはならないことは決まっている。
車椅子を押して、有馬さんに近付く。
そして、息を整えて、
「本当に、すみませんでした!」
勢いをつけて頭を下げる。
「ちょっ、A!?」
勘久郎の焦った声が聞こえたが関係ない。
「一年も仕事に戻らずに、安否すら伝えず本当にごめんなさい、私、またここで」
「Aちゃん」
有馬さんの凛とした声が耳に届く。
ゆっくりと顔を上げた。
「たくさん仕事押し付けてたでしょう、それのお返しで許してあげる。安心しなさい、君の仕事はまた続けて貰うよ。陰陽師に復帰するのはその足が直ってからだ」
そんな言葉に驚くのと同時に、涙が出た。
「…はいっ、ありがとうございます!」
私、またここに住んで良いんだ。
-95-→←番外編ーよっしゃ、とりま夏祭りいくか、夏だし。partthreeー
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フウ - とっても面白いです。続き待ってます。がんばってください。 (2020年9月21日 21時) (レス) id: 2c5b698759 (このIDを非表示/違反報告)
水麟(プロフ) - プリンさん» ありがとうございます!返信遅くなっちゃってほんとにごめんなさいっ汗…頑張ります! (2019年12月7日 22時) (レス) id: 0dc0777a12 (このIDを非表示/違反報告)
プリン - とっても面白いです!続き待ってます!私の中で、お気に入りの夢小説です!これからも更新頑張ってください! (2019年9月5日 15時) (レス) id: 1dc5fb63e0 (このIDを非表示/違反報告)
水麟 - miさん» すっごく嬉しいです!私なんてまだまだですっ、これからもそう言って頂けるように頑張りますね!ありがとうございます! (2019年7月28日 23時) (レス) id: 65c8c71a9b (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - すごく面白くて見ては見直してを繰り返してます! 自分も小説を書いてる身なんですけど水麟さんみたいに書けないのでとても尊敬します!!これからの更新楽しみにしてます!頑張ってください!!! (2019年7月27日 21時) (レス) id: fb6e5b6ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水麟 | 作成日時:2019年4月21日 17時