日常と非日常＊18 ページ3
冬弥side
……Aは、俺に何も言ってくれなかった。
俺は、そんなに頼りないのか？
“大丈夫だから。”
全然、大丈夫じゃなかったじゃないか……。
無理してでも、聞き出せばよかった。
でも、言う気がないなら、もういい。
そんな気持ちで、俺は1人、家に逃げ帰ってきた。
冬弥｢もう3時か……。
宿題でもやるとするか。｣
そう1人呟き、自分の部屋のドアを開け、机の前に立つ。
そこで、俺はあることに気がついた。
いつもはAの部屋にある筈のAの日記が、何故か俺の机にあったのだ。
きっと、間違えたのだろう。
だが……
これを見れば、何かが分かるかもしれない。
俺はそんな期待をして、日記を開いた。
“今日は、楽しかった。
明日、物理と音楽の授業が入れ替えになった。”
“今日は、隣のクラスの子と話をした。
とてもいい子で、司の知り合いだと言う。
また、話したいな。”
数日に1度更新されているらしい日記には、所々俺も知っている話が綴られていた。
そして……あの日のことが書かれているページを見つけた。
“今日は、冬弥に連れられて病院に行った。
そこで、病気だと診断された。
記憶をなくす病……。
正直、まだ信じられていなかった。
もしかしたら、違う可能性もある。
先生のその言葉を、信じるしかない。”
冬弥｢記憶を……なくす？｣
“今日は、やることがなかったから、早めに課題を終わらせておいた。
明日は、冬弥と司達のショーを見に行く。
忘れないように。”
どういうことだ……。
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