ディアレスト【佐野玲於】 (ページ29)

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過去形ページ29

玲於 s i d e

あいつの部屋

綺麗に白色で統一されてて、なんか意外。

まぁ、ちょっと抜けてるけど実はしっかりしてるしそこは良いところかな、なんて

A「今日はどうしたの？久しぶりだから、何話して良いかわかんないよ。」

玲於「お前の中身の無い話、聞いてやるよ」

冗談で言ったつもりだったのに

そしたらこいつ、独り言のように淡々と語り始めた…

A「私ね、お兄ちゃんが居るの。そのお兄ちゃんは亜嵐くんとずっと仲良しで、親友？みたいな。」

玲於「おれ、見たことない。」

A「もう、事故で亡くなっちゃったからね…それでその時から私も亜嵐くんとお兄ちゃんに混じって遊んだりしてたから、今では亜嵐くんが本当にお兄ちゃんみたいな感じ。」

だから、こいつも亜嵐くんも

本当の兄妹みたいに仲よかったんだ。

A「それでね、お兄ちゃんが事故にあった時わたし屋上で泣いちゃって…一人ぼっちだって思ってたら、玲於くんが声かけてくれたの。」

おれがずっと忘れられなかったあの日？

何してんの？って

思わず声をかけたあの日？

A「救世主みたいで、嬉しかった。あの時からだよ、私が玲於くんを好きになったの」

玲於「だから“わたしと玲於くんは運命”とかいつも言ってたんだ？」

A「そうだよ、好きだったなぁ。あの頃は。」

過去形かよ

そう言おうとした時

一階から聞こえる楽しそうな笑い声

A「あれ？亜嵐くん来たのかな？」

玲於「なに、いつも家遊びに来んの？」

A「いつもでは無いけど、今日は退院後来てくれるって約束してたの。」

退院って入院してたの？亜嵐くん

なんて聞く間も無く、下に降りて行こうとするから

おれも慌てて着いて行く

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