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｢ねえねえ!
私、北人くんの歌聴いてみたいなー!｣
心の違和感をかき消したいって気持ちと純粋に聴いてみたいって気持ちで北人くんにお願いしてみた。
｢うん、いいよ!
じゃあ俺が1番好きな曲歌うね！｣
北人くんはまるで私からのリクエストを待っていたかのようにすぐに了承してくれたので思わず笑みが零れる。
｢ふふ笑 じゃあ、お願いします！｣
でもそんな風に笑えたのも束の間だった。
歌い始めた瞬間にガラッとその場の雰囲気が変わって、思わず息をのむ。
北人くんの歌声は力強いのに何故かとても優しくて切なかった。とても情熱的に歌うその姿から目が離せない。
歌詞の一つひとつが胸に刺さる。
歌ってこんなに心を動かされるものだっけ?
気がついたら視界がぼやけて、涙が零れないようにと、どこまでも広がっている星空をただ見上げることしか出来なかった。
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｢A!｣
｢えっ！｣
｢ちょっと聞いてる?｣
｢ごめん、ぼーっとしてた笑
なんの話だっけ?｣
北人くんのことを思い出していたら聖ちゃんの声が聞こえなくなっていた。
気持ちを切り替えて聖ちゃんの方を向くと、
｢だから、最近良い人いるの?｣
予想外の質問に少し驚く。
｢いないよ笑
最近は仕事が恋人的な?笑｣
｢またそんなこと言って、どうせいるんでしょ？彼氏笑
それとも...
まだ忘れられない?
北人くんのこと.....｣
何も答えられず、ただ軽く首を縦に振ることしか出来なかった。
｢そっか...
大好きだったもんね。｣
聖ちゃんがさっきよりも優しい声で私に話しかけるから、涙が込み上げそうになるのを必死に我慢した。
｢もう...5年も経ってるのにね笑
やっぱり忘れられない。｣
｢仕方ないよ。
だって、
Aは北人くんのために別れたんでしょ?｣
聖ちゃんはなんでもお見通しだなってつくづく思う。
あの頃の自分は、別れる事が最善なんだって思い込んでいた。
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｢別れよう｣
｢えっ。どうして?｣
｢もう、北人くんのこと好きじゃないから。｣
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作者名：mm | 作成日時：2020年3月11日 13時
