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「Aは将来なにするか決まってるの?」
「一応志望校は決まってるけど、あんまり具体的には決まってないかな。」
「そっかー」
「でもね、前からやってみたい仕事はあるんだ!」
「なに?」
「えっとね、結婚式場のスタッフさん!」
「いいじゃん!!なんかAがドレス選んだりしてるの想像できるよ。 結婚式かぁ...」
少し口元を緩めて星空を見上げる北人くんを見つめて私も笑みが零れた。
すると、急に北人くんがこっちを向いて思わず目があってしまった。
見つめてたのバレちゃったかな?
恥ずかしくなって話題を変えた。
「ほ、北人くんは将来の夢決まってる?やっぱりバスケやるの?」
「え? んーー、バスケはもうやんないかな。」
「え!もったいない!上手なのに!!!
私、バスケしてる北人くん見るの好きなんだけどなー。」
「バスケしてる俺だけ?」
「え?」
唐突な質問に戸惑う。
赤くなっていく顔を隠すように俯きながら
「どんな事してる北人くんも好きだよ//」
そう答えると、
「うん、知ってる笑」
北人くんは嬉しそうにそう答えた。
「もう!すぐそうやってふざけるんだから//」
「ごめんごめん!笑」
「はいはい笑
それで?バスケやらないなら何するの?」
北人くんはなにか言おうとして1度口を噤んだ後に、意を決したように私のことを見て、
「実は俺さ...
歌手になりたいんだよね。」
そう言った。
「歌手?」
「うん、...歌手。
EXILEのTAKAHIROさんっているじゃん?」
「うん。」
「中学の時、クラスの女の子にその人に似てるねって言われて調べたんだ。
そしたら、すっごくかっこよくて!!
俺もこんな風に歌えたらって思ってさ。」
「そっか!」
「うん。Aにもいつか話そうとは思ってたんだけどね、色んなオーディションとか受けてみてるんだ。」
「え!そうなの!?すごいじゃん!」
「まあ、なかなか受かんないけどね笑
でも、俺絶対歌手になれるって信じてる!」
そう言う北人くんは本当に自信に満ち溢れていて、私も心のどこかで北人くんなら歌手になれるんじゃないかって思った。
なのに何故か胸の奥がチクッとして、素直に応援できない自分がいた。
もしもその夢が叶ったら、私の存在がきっと北人くんの邪魔になる、そう感じたから。
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作者名:mm | 作成日時:2020年3月11日 13時