近くて遠い… ページ30
*
「着いたら起こせ」
そう言って、
ヒチョルは助手席で目をつむる
夕飯のあとにでかけるって言うから、
てっきり飲みにでも行くのかと思ってたら…
HC「クルマ出せ…」
HC「事務所行け…」
ただ、それだけ言われて、
クルマを走らせてる…
クルマで眠れないくせに、
寝たふりしてまで事務所に行く意味って…
「ヒチョル、着いたよ?」
ヒチョルのマンションから事務所まではたいした時間はかからない
ましてや、
こんな遅い時間だし…
HC「…あぁ」
ワンテンポ遅れて反応する
シートベルトを外すのを眺めていたら、
パッと振り返って
HC「早く降りろよ」
って、ピシャリと一言放たれた
やっぱり、
アタシは“ただの運転手”ではなく、
連れてこられるべくしてここへ来たんだ…
クルマを降りると、
ヒチョルはすでにドアの前
チラッと振り返って、
アタシがついてきてるか確認する
小走りでヒチョルに追いつくと、
黙ったまま
エレベーターへ乗り込んだ
沈黙…
沈黙を破ったのは、ヒチョルで…
HC「居残り、だとさ…」
「居残りっ!?」
思ってもない言葉に、
素っ頓狂な声が出た
そのとき、
エレベーターが止まる
ヒチョルの背中について歩けば、
メンバーがいつも使う練習室
その前で、ヒチョルの足が止まる
HC「いままでにないぐらい、すげーマジメにやってたみたいだけど…」
練習室のドアは、
目線の位置だけガラスになってて
そこから、中を覗いたまま、
ヒチョルが小さな声で発する
HC「だけど、緊張の糸っつーか、我慢の限界っつーか、なにかがプツンッて切れたっぽい…」
「えっ?」
ヒチョルの言う意味がわからなくて、
ガラスのところから中を除けば…
ドンヘがヒトリで踊ってて…
「なに…?」
そんな姿をはじめて見て、
胸の奥が、
ぎゅうぅぅぅぅって
ものすごく締め付けられた…
HC「オレ、先に帰っから…」
ヒチョルの声
と、
ヒチョルの足音
と、
ドアを隔てた向こうにいるドンヘ
すべてが近いはず、
近くに感じるはすなのに、
なんだか遠い…
なんだか遠くて、
そのまま、
ドアにもたれかかったまま、
ズルッて崩れ落ちた……
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作成日時:2015年4月1日 21時