【w.r.w.r.d.！】白い軍服の彼。【r.n】 (ページ3)

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2話ページ3

店内の方から声が聞こえた。私はその声の方を向いた。
そこには白いコート…軍服を身にまとい、さらには白い軍帽を被った男性の姿があった。

「あ、あの…今、刀とおっしゃいましたか？」

「あぁ。刀は…置いていないか？」

この男性から出てきた言葉は「刀」。
我々国の兵士方はみんな揃って剣を使っているはずだ。いや、刀の工法も教えて貰っていない訳では無いが、刀を求めて店に来る人は大変珍しい。我々国の…兵士の方なのだろうか？

「いえ、置いていない訳ではないのですけれど、新しく造らなくてはいけなくて…1週間ほどお時間いただくことになりますがよろしいでしょうか？」

「構わない、無理なお願いをして済まないな」

「いえいえ、それが商売なのでご心配なく！」

「ここの店に来るのは初めてなのだが、貴女1人で経営されているのか？」

「はい、父が数年前に他界してしまって。それからは1人でやっております」

「そうか…ここの店は俺の部下たちが絶賛していてな、いつも助かっているんだ」

「部下…ということは貴方様は…？」

「我々国の陸軍曹長を務めている、ひとらんらんだ」

「そ、曹長様っ…！？」

曹長と言えば、戦場へ赴く兵士たちなどの指揮役、つまり、まとめ役として有る役職だ。

つまり戦場の【プロ】である。

「そんな腰を低くしなくていい。こちらは無理なお願いをして武器を頼んでいる身なのだ、こちらの方が頭が上がらない」

そう言い、彼はこうべを垂れる。

「そ、そんな…は、はぁ…」

我が国の曹長様に頭を下げられては、私は動揺する他ないのは当たり前だろう。

「貴女の名は何て言う」

「A…Aです」

「A…か、覚えておこう」

「は、はぇ、ありがとう…ございます…！」

曹長様に名前を覚えてもらえるなんて…どんな幸運の訪れだろうか。

「時間はいくらかかってもいい。最高の斬れ味のある刀を作って欲しい」

「は、はい、分かりました、お受けします！」

「…恩に着る」

軍服の彼は、フッと口角を少し上げ微笑んだ。

その彼の顔にトクンと1つ、心臓の音が鳴ったのを私は気づかなかった。

いや、分からなかった。