8話 ページ9
それから1週間が経ち。
なぜかは分からないけど、この1週間のなかで私が出勤した日全てに白金さんがいた。
オスマンさんも「高3で授業も少ないから」と言って、多くバイトに入っている。
そしてたまに見かける、
「オスマン、アメリカンコーヒー入ったからよろしくね!」
と言いながら彼の腕に触れる白金さん。それを見る度私は心が痛む感覚がした。
彼女の愛想の良さは、お客様からも評価が高く、すっかりと看板店員になってしまった。それからはフロアを任せられている事が多くなっている。
ただ、彼が居ない時の白金さんの態度はかなり悪かった。
「あーAさん、コーヒー入ったから作っといて」
「今人少ないじゃん、私休んでるからオーダー受けてきて」
この態度がお客様に行き届かない範囲でやっているから、タチが悪い。
時には私が作ったコーヒーなのに、いかにも自分が作ったように、お客様に立ち振る舞うことだってある。
私はこれが許せなかった。
休日である今日は、私も彼も白金さんも8時間フルで働いた。ラテアート練習の為の閉店後の時間には、既に私も白金さんもヘトヘトだった。
「2人とも、疲れてるみたいだけど…今日は練習やめる?」
「ううん!やる!せっかくオスマンが教えてくれるから頑張る!」
「分かった、Aさんは?」
「やります。コツを掴みかけているので」
「そうだね、もう最終段階まで来てる。あとは実際にお店に出しているアートが出来ればもう言うことないよ」
「頑張ります」
「オスマン、私はどう??」
私の言葉に覆い被さるように、白金さんが彼に問いかけた。
「白金さんはまだちょっと練習が必要かな。まぁすぐに上手くなると思う」
「は〜い、これからもご指導よろしくね!」
「うん、頑張るよ。じゃ始めようか」
3人で器具を準備していたところ、休憩室の方から店長の声がした。
「オスマン、ちょっとこっち来てくれないか?」
「え?あ、はい。分かりました。
2人ともとりあえず1杯練習しててくれるかな?」
「分かった〜!」 「分かりました」
彼は私たちに「ごめんね」と眉を下げて謝り、休憩室へと走っていった。
私は器具の準備を再開した。
隣の白金さんは手を1歩も動かさず、口を開いた。
「…ねぇ、(名前さん)」
「な…なんですか」
「今日疲れたからさぁ、私の分、作っておいてくんない?」
「え…?」
白金さんのこの言葉に、準備していた私の手が止まった。
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ゆゆもち - マンちゃん大好きなのでめちゃめちゃ助かります…!!爽やかマンちゃんもかっこいい!! (2021年11月28日 14時) (レス) @page13 id: c0c49f03e7 (このIDを非表示/違反報告)
白楼恋 - ・・・まんちゃん・・・尊い!!・・・やばい・・文才が溢れ出てる・・・・なんかもう白金さん止めた時のマンちゃんイケメン・・・これはハンカチが自分の血で染まりますわ (2020年4月3日 11時) (レス) id: fc9ad241ba (このIDを非表示/違反報告)
美蘭(プロフ) - こゆきさん» ほっこりとしていつつもしっかりしている先輩像が合うんじゃないかなと思って書かせていただきましたが、楽しんでもらえて光栄です( *˙-˙* )こちらこそ読んでいただきありがとうございます! (2020年3月30日 16時) (レス) id: 9739ce79c0 (このIDを非表示/違反報告)
美蘭(プロフ) - いちごスムージーさん» おおおおありがとうございます!あまり見ないですよね、mnちゃんのキャラ掴むのも結構大変でしたが見ていただけてとても嬉しいです!まだ書いていないメンバーも書いていくのでぜひ見ていただけると嬉しいです! (2020年3月30日 16時) (レス) id: 9739ce79c0 (このIDを非表示/違反報告)
美蘭(プロフ) - みかげさん» このシリーズは、全話読み切りなので完結した時点で公開するようにしてます!まだ書いていないメンバーはいるので、次のお話も近日に公開致します! (2020年3月30日 16時) (レス) id: 9739ce79c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美蘭 | 作成日時:2020年3月28日 17時