153「あたしの屁理屈だよ」 ページ12
A「ど、して……」
あまりにも冷たいフェイの声に、冷や汗が流れる。なんで、そんな、両親を恨むだなんて。
ﾌｪｲ「僕の父さんは、サッカーと『ぬいぐるみ』だけを残して、僕を一人ぼっちにした」
A「……ぬいぐるみ……？」
ﾌｪｲ「ああ、ウサギのね。僕はあれが大嫌いなんだ」
普段のフェイからは想像ができないくらいの、色のない声。深く聞かないほうがいいのだろうか。
ﾌｪｲ「でもたぶんね、僕の親だって、僕のことを嫌ってたんだと思うんだ」
A「そんなこと、」
ﾌｪｲ「ないって、言えるの？」
フェイと目があう。
冷たい。いつもの優しい目じゃない。
だめだ、こんなの、嫌だ。
A「……フェイ、これは、あたしの屁理屈だよ」
ﾌｪｲ「……A……？」
A「君をひとりぼっちにした理由が、『嫌っていたから』だという可能性があるのなら、きっと同じように、君のことを『嫌っていなかった』という可能性だって存在する」
あたしをまじまじと見つめて、フェイが小さく首をかしげる。そんな彼を見やって、続けた。
A「この世に『絶対』なんてない。ありうる全ての事象には、起こる前までは可能性が等しくあるんだ。そもそも、君のご両親に直接聞いてもいないのに、決めつけるなんて、絶対よくない」
ﾌｪｲ「……絶対って、ないんじゃなかったっけ？」
そう言って、フェイが笑う。
A「それは、まあ……いいとして」
こほん、と咳払いをして、気を取り直す。
言葉の綾ってやつだよね、うんうん。
A「『こうだ』と決めつけて、真実を知ろうとしないのはダメってことだよ。自分の目で見て、聞いて、そうして知ったことが本当の真実なんだから」
そう、それがどんな事実だとしても、それだけは絶対に覆せない。……あ、また絶対使った。
ﾌｪｲ「じゃあ、もし本当の真実が『僕を嫌っていたから』だったとしたら？」
A「そのときは、あたしたち皆でフェイを慰める。それも全力で、手厚くね」
ﾌｪｲ「あははっ、それはいいね」
空を見上げて笑うフェイの声が、いつもの柔らかいものに戻っていた。
.
A「……でもきっと、嫌ってなんかいなかったと思うよ」
.
ﾌｪｲ「うん？何か言った？」
A「ううん、何でもないよ」
ーー
こ、これは果たして何論なのか……。
作者も迷走しております……。
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haru(プロフ) - とても好きです。続きを楽しみにしてます！ (2018年12月14日 22時) (
レス) id: 50d52a8ffe (このIDを非表示/違反報告)
ぐれーとまっくすな手毬。(プロフ) - 柑橘系さん» コメントありがとうございます、返信遅くなりすみません……。ひええ、勿体無いお言葉です、ありがとうございます！！更新再開とはまだ断言できませんが、なるべく頑張りたいと思います。目指せ完結！！ (2018年3月9日 21時) (レス) id: 8cdc93238d (このIDを非表示/違反報告)
ぐれーとまっくすな手毬。(プロフ) - わたあめ☆さん» 返信遅くなりました！コメントありがとうございます。更新停止しておりましたが、とりあえず1話だけ更新ということで戻ってまいりました。とにかく完結させたいです、今後ともよろしくお願いいたします！ (2018年3月9日 21時) (レス) id: 8cdc93238d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘系 - 一番最初から読ませていただきました！！すごく面白いし夢主ちゃん可愛いしで最高です！これからもこの小説を楽しみに生きていきます！頑張ってください！！！ (2017年6月22日 21時) (レス) id: 04654b2bed (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ☆ - 更新停止したんですかぁ〜。すきだったのにぃ〜。それでも、また戻って来ることを信じてます。頑張って下さい。 (2017年6月1日 6時) (レス) id: 8ff80f4586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぐれーとまっくすな手毬。
| 作者ホームページ：＼(゜ロ＼)ココハドコ? (／ロ゜)／アタシハダアレ?
作成日時：2015年7月22日 13時
