松下村塾の悪ガキさん 弐 【銀魂】

＿＿＿＿二八頁目 ページ28

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平穏が、これからもずっと続けばと願う。




それはいつだってウチが願ってきたこと。


貧民街の人達が幸せになればと願った。
お母様が生きていたらと願った。
お父様に前のような笑顔で抱きしめて欲しいと願った。
弟に戦いなど関係の無い場所で生きて欲しいと願った。


結局、願うだけだった。願うだけで、気づけば行動が遅れている。お父様の言った通りウチはやっぱり出来が悪いのかもしれない。






───だから、こんなことになるんだ。






「 ………先、生ぇ……っ 」






行かないで。







❁❁❁



今日はいつもより早く起きた。早く起きたとしてもやることなんてない。だから二度寝してやろうともう一度布団に戻ろうとすると外の方からザッザッと掃く音が聞こえた。


すぐさま起き上がり襖を少し開けまるで怪しい現場を覗くかのようにそろりと庭に目線を向けた。




「 ( ……ヅラ？ ) 」




そこにいたのは桂だった。朝早くから何故か彼は庭の掃き掃除をしていた。

Aは桂に向けて「おはよう」と声を掛けた。桂はAの存在に気づき一瞬驚いた顔をした後、「おはよう」と返してくれた。




「 Aはいつもこんなに早起きだったか？もう少し遅かったような気もするが…… 」


「 あー、今日はなんか早くに目、覚めてしまってん。やから二度寝しようとしたんやけどなんや庭から音が聞こえたから 」




「まさかヅラやったとは」と話すAを見て桂は思った。“早起きは三文の徳”と。

ついいつもの癖で早起きをしてしまった桂。

しかしとにかく嬉しかった。朝イチに見られたのがAの顔で。Aが起きて最初に喋ったのが自分で。

桂は悟られないよう顔には出さずに掃除に戻った。Aはくぁ、と欠伸をする。




「 まだ眠いなら少し寝たらどうだ？ 」


「 んー 大丈夫やよ。そういえば今日ってウチとヅラと晋ちゃんの三人で道具買いに行かんなんかったよね？ 」


「 ああ。床を磨く時に使う雑巾の数が足りないからな。後ついでにいうと洗剤も足りない 」


「 はい！ 」

「 どうした？ 」

「 行った帰りにお菓子買ってもいいですか！ 」

「 ………一つだけならバレないだろう 」

「 やった！ありがとな お母さん！ 」
「 誰がお母さんだ誰が 」





何処かで鳥が鳴いた。



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