松下村塾の悪ガキさん 弐 【銀魂】

-二七頁目- ───ようこそ ページ27

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押し付けられる道よりも、決められた道を進むよりも、



自分で決めた道を。




「 おい、そこの童ども。こんな夜更けに何をやっている。貴様ら、どこの家の…… 」
「 松下村塾 吉田松陽が弟子坂田銀時 」



「 同じく 東雲A 」



「 同じく 桂小太郎 」



「 同じく 高杉晋助 」




役人の前に立ちはだかり、言葉を遮る。
それぞれに木刀を真っ直ぐ構え、同時に踏み出す。




「「「「参る！！」」」」




「 なっ…！？なんだこのガキ共…… 」




役人達は腰の刀にかける。空気はまさにぶつかる直前。



そこに、酷く落ち着いた声が響いた。









「 抜かないでください 」









「 ！！ 」





「 そのまま剣(それ)を抜かないで頂きたい。両者とも

どうか私に、抜かせないでください 」







じりじりと後ろに下がっていく狼狽える役人の間を松陽は通った。








「 私の事を好き勝手に吹聴するのは構いません。私が目障りならどこへなりとも出ていきましょう……ですが 」





パキィィンッ




「 剣(それ)を私の教え子たちに向けるのならば私は本当に国家位転覆しても構いませんよ 」


「 ひっヒィィィ！！ 」





…………あっという間だった。松陽に内緒で部屋から銀時と共に抜け出し、役人の足止めをしようと剣を持って挑もうとした途端に松陽が現れたのだ。


走り去った役人に目もくれず松陽はにっこりと笑って教え子四人を見下ろした。





「 やれやれ。教え子は巻き込まないように家に帰したつもりでしたがまだこんな所に残ってましたか。悪ガキ共が 」




もう破る道場も、学び舎もない。それでも高杉と桂は構わないからアンタについて行くと言った。それを聞いた松陽は目を開き、驚いた反応を見せる。

だが直ぐに溜息をつく。




「 銀時、A。これはまた君たち以上に生意気そうな生徒を捕まえてきましたね 」

「 え、先生ウチ生意気？？ 」

「 そうだろ 」

「 即答せんといて 」




「 ……そうですか。なら早速路傍で授業を一つ 」





パンパ者が夜遊びなんて百年早い





ゴッ、という音が四回連続で鳴り響き、Aも含めた四人は路傍の地面に埋まった。頭に小惑星を生み出しながら。



パラパラと砂利が落ちていき、砂埃が舞う中、松陽は教え子に向かっていつもの笑みを浮かべた。









「 松下村塾へようこそ 」









【二冊目 終了】

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