松下村塾の悪ガキさん 壱 【銀魂】

-九頁目- それぞれの夕飯 ページ9

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──────して、Aが去った後。

パキパキ…と木の棒を燃やす音が無言の二人の耳に入ってくる。鼻には焦げ臭い匂いが。





「 銀時、焼けましたよ 」





吉田松陽は市場で買ってきた魚を何とも古典的な方法で焼いていた。宿無し……流れ者だからしょうがないが。


彼は少年に串で刺した焼き魚を手渡そうとするが、先程から少年はむくれていて目線も合わそうとしなかった。


“銀時”。そう呼ばれた少年は刀を抱きしめ、受け取らない。
吉田松陽が笑った顔のまま眉を下げたので困った笑顔になる。






「 なら私が……あら、 」



「 …… 」





銀時が受け取らなかった魚を吉田松陽は食べようとしたが、シュッ、と効果音がついたと思ったら吉田松陽の手には魚がなかった。






「───松陽、なんであんな女連れてきた 」


「 そうですねぇ…。随分と純粋な子だったもんで 」


「 は？ 」


「 まだ出会って一日ですが、直ぐに伝わってきましたよ。銀時も気付くはずです 」


「 ……意味わかんねぇ 」


「 だからね銀時── 」





“同じ生徒として、仲良くしてあげて下さいね”









❁❁❁









一方でいおりはあの路地から去った後、自身の家についた。




「 ( 道場から何も聞こえませんね…。もう終わっているということですか ) 」




ということは家に戻っているはず…。

出かけることを黙って行ってしまった。お父様に叱られる、叩かれる、失望される(・・・・・)。


恐る恐る門を開き、中に入り戸を開けた。


そこにはやはり──






「 ………どこに行っていた 」



「 お父様、 」



「 言いつけを破ったな。いつまでたっても愚図は愚図のまま、か。侍の風上にも置けんな 」







そのまま奥へと消えていった。いおりは俯き、「 すみません… 」と小さな声で言うことしか出来なかった。




その声さえも消えていった。





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