第193訓-■■■篇-四三 近い距離 ページ43
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「前はあんなこと言って……すまんかった。言い訳なら……せんよ。八:二の割合で八の方で私が悪かった」
あんなん言われたら誰だって怒る。なんか今までの私を客観視できるようになった。そう考えたら自分があまりにも無感情過ぎる。
「…………」
思わず目を逸らす。
「別に姐さんだけに非があるわけじゃねェ。九:一の割合で一の方で俺も悪かったと思ってまさァ」
「それほぼ思っとらんよね??すっごい既視感あるんやけど」
「姐さんが最初にやってきたんだろィ」
そういえばそうやったような。船での事を思い出そうとすると必ずしずきの顔が浮かんでくる。
……あの子は今、何をしとるんやろうか。
「何はともあれ、ようやく謝れた。そういや、私が気ぃ失ったあと運んでくれたんやろ?ありがとさん」
「!」
私はなるべく明るい声を出した。枷が外れたように表情筋が自由に動いた。
沖田さんの驚いた顔が一瞬見えたが、それは本当に一瞬だった。姐さん、と聞こえ逸らしていたままやった目線を戻すと目の前には彼がいた。
結構、近い…?
おかしい。なんやおかしいぞこの流れ。
「姐さん、なんで俺達がこんなカンジ悪い空気なったか分かりやすかィ?」
「え?わ、分からん……」
「じゃァ、なんで俺が船でアンタを助けたか分かりやすかィ?」
「分からん……」
「そんな相手に姐さんはお礼を言うんで?」
「助かったのは事実やし……?」
質問攻めしてくる沖田さんは、私が壁に寄っとることをいい事に私の逃げ場をなくす。
すっ…と私の頬に沖田さんの手を触れた。呆然としていると、沖田さんのもう片方の手で私の包帯ぐるぐる巻きの腕をその手に掴ませ、もう片方を沖田さんの頬に触れさせてきた。
「(近い、とてつもなく近い)」
いつもなら、なんも感じんのに……。「え、この人いきなり何しとるん?」って思う程度のはずなんに。
────顔が、熱い。
「(待って待って待ってなんなんこの急展開。ホンマに急が展開すぎて…………って何言っとるん私。落ち、落ち着け、落ち着け?)」
喉になにかつっかえたように羞恥などのよく分からない感情が込み上げてくる。それを出さないよう必死に抑える。
それに必死になりすぎて、無意識に沖田さんの赤い目をじっと覗き込んでしまう。
お互い黙り込んだと思ったら沖田さんはそっと離れていってしまった。そして、口を開く。
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運動系引きこもり(プロフ) - 七瀬未来さん» 七さんへ。字数制限での縮め方は目を瞑りましょう。たくさんの感想を聞けて嬉しかったです。挿絵は頑張りました。もっと褒めて欲しいです。P.S七さんも5巻出せるよう頑張ってください。コメント書きに行きます、 (2021年2月8日 11時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
七瀬未来(プロフ) - 運こへ。東雲さん沖田くんと仲直り出来て良かったです……。あと東雲さんの表情筋が段々と緩んできてるのに読んでる私も頬も緩みました。人形マダオとギャル男とのお話も頑張って下さい!PS.挿絵素晴らしかったです。銀しの推しだったけど沖しのにもグッと来ちゃったよ (2021年2月7日 13時) (レス) id: e97d6b826d (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - 睡眠足りない布団好き女子さん» ようやくこの画像出せたよ……!うん、恋愛って難しいからね(なんで逆ハー書いてる?) (2021年1月21日 23時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
睡眠足りない布団好き女子(プロフ) - あの画像がまさかここで使われるとは.........!! 次が超絶気になる〜!!!! 楽しみにしてマース!! てか、これ逆ハーやったって今思い出した笑 (2021年1月21日 23時) (レス) id: 9e26011d22 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - ポケットの案内人さん» そうですそうです! (2020年9月19日 12時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2020年4月14日 13時